Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

バッハ発、ワーグナー行き(7)

2024年04月11日 06時30分00秒 | Weblog
ワーグナー(クリンドヴォルト編):ジークフリートの葬送行進曲
 
 「・・・そうした世界観やそれにふさわしい楽曲のあり⽅を、ベートーヴェンも《第九》をはじ めとする諸作品に積極的に採り⼊れていく。となると、その崇拝者であり後継者であるこ とを強烈に⾃認していたワーグナー⾃⾝が、ベートーヴェンの⾳楽世界を、⾃らの作品に 取り⼊れていったのは当然だろう。特に、畢⽣の⼤作である楽劇《ニーベルングの指環》 の最後を飾る《神々の⻩昏》(作曲は 1869 年から 74 年にかけてだが、作品そのものの草 案は 1848 年にまで遡る)では、その⼤詰めで英雄ジークフリートが死を迎える中、悲劇 的であると同時に輝かしさにも満ちた葬送⾏進曲が出現する。」(曲目解説より)

 ワーグナーは、幼い頃から「第九」の総譜を愛読しており、ベートーヴェンの「後継者」を自認していた。

(妻コジマの1879年9月2日の日記:
  「とつぜんリヒャルトは言う。『私に慰めをあたえる人は、はなはだ少なかった。ベートーヴェン、モーツァルト、バッハ、ウェーバーーーー私が独創的旋律家と呼ぶ人たちだ。』」(p65)

 言うまでもないが、ワーグナーの二番目の妻コジマはリストの娘であり、リストもベートーヴェンの崇拝者だった。
 ワーグナーの先輩音楽家に対する敬意に敢えて順番を付けるとすると、コジマが述べたとおり、ベートーヴェンが筆頭に来て、次にモーツァルト、その後にバッハという順になるのだろう。
 ベートーヴェンのイ短調四重奏曲を聴いた後に至っては、
 「人間はこのように非地上的なものを聞く資格があるかどうか、疑問にさえ思われる。」(前掲p63)
と感嘆していたらしい。
 モーツァルトからの影響がやはりオペラであり、バッハからの影響はおそらく形式の点にあると指摘されている。
 ワーグナーは、バッハの「平均律」を熱愛しており、ある晩、この曲が演奏された後、こう述べて「マイスタージンガー」の前奏曲を弾き始めたそうである。
 「では、これから応用されたバッハをやろう。」(前掲p67)
 確かに、この曲では対位法が駆使されていて、あのグールドも好んで弾いていたのである(Glenn Gould plays Die Meistersinger (excerpt))。
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