「シェイクスピアの戯曲を題材にしたメンデルスゾーンの名曲『夏の夜の夢』。ウエンツ瑛士は、物語の重要な役回りを担い、進行役を務める妖精パックとして出演。夏至の頃、妖精たちが集う森で繰り広げられる妖精と人間たちの恋模様を、縦横無尽に舞台を動き、巧みに紡いで、幻想的な物語の世界へ誘う。指揮は佐渡裕、ソリストに人気と実力を誇る日本を代表する歌手陣、小林沙羅 (ソプラノ)、林美智子(メゾ・ソプラノ)を迎え、女声合唱パートは柏少年少女合唱団・流山少年少女合唱団らが務める。」
「真夏の夜の夢」は、「テンペスト」の次に私が好きなシェイクスピアの戯曲である。
なので、クラシックだろうが、バレエだろうが、公演のニュースを聴くと反射的にチケットを買ってしまう。
N響も来月「真夏の夜の夢」を取り上げるのだが、抜粋ということなので、新日フィルを選択した。
新趣向は、ウェンツ氏が狂言廻し役(というより複数のキャラクターの一人芝居)をするところであるが、他方で、ちゃんと独唱・合唱(歌詞も原詩のドイツ語)が入っているのは好印象である。
さすがだと思ったのは、この戯曲で一番ややこしい、4人の男女(2組のカップル)の関係を、冒頭でウェンツ氏が分かりやすく整理したところである。
「何度も言うよ。駆け落ちしたカップル。これを追いかける男、さらにこれを追いかける女。ここを押さえておかないと、この後の30分がすごーく退屈になるからね」
というくだりで聴衆は爆笑する。
指揮者の佐渡さんは、音楽監督就任後2期目ということだが、「大阪のオモロいおっちゃん」そのままのキャラクターで、今回も冒頭から笑いを取りながら曲目紹介を行った。
「真夏の夜の夢」ではオベロンを演じ、ここでも、
「サントリーホール!ウイスキー飲みたい!」
などと叫んで大きな笑いを取る。
なんだか、彼がクラシック界の上沼恵美子のように見えてきた。
「佐渡裕のおしゃべりクラシック」という副題がついてもよさそうである。