⑥ 1階の壁の落書き(「L」ないし「V」のように見えるが、ガザの地図のようでもある)の上の方を、唐沢さんがペイントで上塗りしていく。
それが終わると、唐沢さんは右手前の隅にあるカメラの方向へ移動し、カメラを操作し始める。
すると、5人の出演者(おそらくクマ以外)が現れ、3人は中央でダンスを踊り、2人はその周りを笑いながら走り回る。
唐沢さんは「ウォー!」と叫び、中央の3人はカメラに向かって前進してくる。
そのうち、6人全員が中央に集結し、カメラの映像は消える。
これは、傍観者たること=「笑い」と「無関心」を可能にする現実との間の”距離”の消失を意味しているのではないだろうか?
6人は、(記憶が曖昧だが)「海も、山も、川も・・・」、「無関心による暴力を・・・」、などと叫びながら踊り続け、スクリーンには”LIBERATION”という単語が現れる。
野坂さんは、「FREE PALESTINEの文脈で、”Liberation before Peace.”(平和の前に開放を)を実現するための抵抗・表現を実践している」というが、ここでは広く「透明化・周縁化された人たちの解放」という風に理解するのが良いかもしれない。
そうすると、壁の中央付近の落書きはLIBERATIONの頭文字としての「L」なのだろうか?
ともあれ、この「饗宴」では、「愛」(LOVE)について語る前に、「解放」(LIBERATION)が叫ばれたのである。
⑦ 最初は2階で、クマと男女1組(?)がテーブルを囲んで座り、右手を90度、左手を180度あげる動作を繰り返す。
次に、彼ら/彼女らはエレベータで1階に降り、他の出演者と合流する(よって、(クマを含む)7人全員が揃う)。
7人は、壁の前を、左から右に向かって進行しながら、例の動作を繰り返す。
これは、明らかに「L」の字を示す動きである。
インスタグラム(饗宴/SYMPOSION)を見ても、
”I DREAM OF A DANCE AFTER LIBERATION ”
とあるので、間違いないだろう。