Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

盛り合わせ&バラ売りのコンセプト

2024年07月17日 06時30分00秒 | Weblog
コリリアーノ: オスティナートによる幻想曲
ベートーヴェン(リスト編): 交響曲第7番から 第2楽章 アレグレット
リスト:「詩的で宗教的な調べ」S.173から 葬送曲
スクリャービン:練習曲 ト長調 op.65-3
変イ長調 op.8-8
嬰ニ長調 op.8-12 「悲愴」
嬰ヘ長調 op.42-4
嬰ヘ長調 op.42-3
変ニ長調 op.42-6
嬰ハ短調 op.42-5
ショパン:24の前奏曲 op.28から 
第23番 へ長調
第22番 ト短調
第18番 へ短調
第13番 嬰へ長調
第10番 嬰ハ短調
第2番 イ短調
スクリャービン: ピアノ・ソナタ第9番「黒ミサ」
ベートーヴェン: エロイカの主題による変奏曲とフーガ op.35
(アンコール)
ショパン:
4つのマズルカより 作品6-1
マズルカ 作品63-3
ポロネーズ 第6番 英雄
マズルカ 作品68-2

 私は昨年夏のリサイタルのチケットを買っていたのだが、体調不良で来日中止となったため(アレクサンダー・ガジェヴ 2023年6月来日中止のお知らせ)、ガジェヴの演奏を聴くのはこれが初めてである。
 まず、プログラムには書かれていないが、ガジェヴの指示により、演奏前にお客さん全員が暗いホールの中で2分間の「黙想」を行う。
 これが音楽を聴くための準備作業だというのである。
 次に、プログラムを一見すると、丸山先生が厳しく批判した「盛り合わせ音楽会」(盛り合わせや否や?)である。
 いや、それだけではない。
 ショパンの前奏曲は、24曲のうち6曲をピックアップした、いわば「バラ売り」である。
 だが、もちろんこれにはピアニストの意図が込められている。

 「このプログラムの異例な幕開けを飾るコリリアーノの《オスティナートによる幻想曲》は、いわば「流動的な」探求を開始し、やがてプログラム前半のメイン・テーマの到来をゆっくりと告げます——すなわち、ベートーヴェンの《アレグレット(交響曲第7番)》が抱く悲嘆のテーマです。(中略)
 プログラム後半の冒頭では、ショパンの遊び心に富んだへ長調の前奏曲が、私たちを前半の雰囲気から引き離し、希望を授けてくれます。でもそれは、ただの錯覚です。なぜならすぐに、22番、18番、そして——13番の崇高な牧歌的光景を挟みつつ——10番の前奏曲が、陰気なムードを回帰させるからです。最後には2番を置きました。この曲番の逆行は、おそらくは《前奏曲集》中で最も実験的な曲とともに締めくくられるのです。(中略)
 これほど変化に富んだ旅を、どのように終えたらよいのでしょう?ベートーヴェンの《エロイカ変奏曲》は、生の多彩な要素と豊かさを余すところなく肯定します。この上なく豊かな精神をそなえた音楽であり、この上なくシンプルな作曲手段による音楽でもあります。私たちは、冒頭のわずか4つの音(ミ♭-シ♭-シ♭-ミ♭)から全てが生じているような印象を抱きつつも、4音の無限の組み合わせと無限の創意に導かれて、ピアノを、オーケストラを超えるものとして知覚することになります。
 歓喜に満ちたフーガが、この極めて強烈なプログラムに終止符を打ちます。
 
 「『悲嘆』から『歓喜』へ」というテーマで理解すべき選曲ということらしい。
 いずれにせよ、テクニックも表現力も素晴らしいし、アンコールはオール・ショパンだったから、丸山先生も許して下さるのではないだろうか?

F.ショパン:
ノクターン第3番 ロ長調 Op.9-3
ボレロ ハ長調 Op.19
ノクターン 第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
舟歌 Op.60
ノクターン 第5番 嬰へ長調 Op.15-2
幻想曲 へ短調 Op.49
24の前奏曲 Op.28
 
(アンコール)
Fショパン:
ノクターン 第12番 Op.37-2
タランテラ Op.43

 こちらは、アンコールも含めてオール・ショパンのプログラム。
 私は、古海さんは初見だが、見かけによらず”パワー系”のピアニストだった。
(最前列の男性のいびき(?)がうるさいな、と思って聴いていたら、どうやらピアニスト本人の鼻息だったようである。)
 ノクターン以外はかなり激しいタッチが要求される曲だし、圧巻だったのは、24の前奏曲のラストである。
 素人が見ても、この曲は、全曲を一気に弾いて、ラストで頂点を迎えるように意図的に構成されていると思われる。
 うーん、やはり、「バラ売り」はあまりお勧めできないようだ。

 
コメント
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