「たとえば『マーラー交響曲第3番』は、もともとはマーラーの初期に作曲された大作の交響曲全曲に振付られたものですが、〈ジョン・ノイマイヤーの世界〉では、第6楽章の部分が取り出されます。 身体の動きによって人間のもつあらゆる感情を描き切るという点で『マーラー交響曲第3番』と通じる作風がある『作品100ーモーリスのために』では、アメリカのフォーク・デュオ、サイモン&ガーファンクルの「旧友」と「明日に架ける橋」が用いられていることには、あらためてノイマイヤーの音楽への感性の幅広さに驚かされます。」
ノイマイヤーが芸術監督に就いて50年という記念すべき年、かつ芸術監督として最後の来日公演である。
内容はてんこ盛りで、第1部は「アリーナ・コジョカル祭り」のような様相を呈していた(彼女は団員ではないのだが・・・。)。
第2部の「モーリスのために」では本日一番の拍手の嵐。
だが、圧巻はやはり「マーラー交響曲第3番 」である。
2メートル近い長身の男性ダンサーたちが女性ダンサーたちをリフトしたまま舞台を前進してくるラストの場面は、「進撃の巨人」を思い起させる(そのまま観客席に落ちてきそう。)。
「私の世界はダンスーそして自分がその一部であることを、常に光栄に思ってきたー勤勉が強く求められる世界ー栄光もあれば、挫折もあるー魅惑と、献身と、たゆまない無条件の専心の世界。
このダンスの世界を、私は負担に感じたこともなく、この芸術が私に犠牲を強いていると感じたこともない。
ダンスは、愛ゆえの仕事だ。」
「この芸術が私に犠牲を強いていると感じたこともない」という言葉を、相手の「自己犠牲」によってしか「愛」を確かめることが出来ない「ワーグナー病」の人たちに聞かせてやりたいものである。
・・・かと思いきや、ノイマイヤーは「パルジファル」をバレエ化し、ワーグナーの音楽を使っていた!(人間の聖なるものの探求するノイマイヤー『パルジファル』)。
やはり「ワーグナー病」の感染力は強かった!