Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

最後の棒倒し(4)

2023年03月24日 06時30分00秒 | Weblog
 今回の”投資”の特徴は、① 国家主導の、② 軍事一点集中、というところにある。
 これは、一見すると、80年代から続く「民営化」の流れに逆行するようにも見えるが、必ずしもそうではない。
 「民営化」という言葉を使うから錯覚してしまうのであり、問題点は共通していると見る。
 私見では、中曽根内閣時代の「民営化」と竹中平蔵氏以降の「民営化」とでは、異質な側面もあるが、やはり一種の継続性があると思われる。

 「国鉄末期の債務残高は37兆1,000億円と巨額であり、本州JR3社および貨物会社が11兆6,000億円を負担、残る25兆5,000億円を国鉄清算事業団処理としました。最終的にはJR本州3社が14兆5,000億円を負担。国鉄清算事業団は債務を減らすことができず解散、現在は鉄道・運輸機構が引き継いで処理を行っています。タバコ税の一部が国鉄債務償還に使われているのはご存じの通りかと思います。・・・
 なぜ、国鉄のままとJR転換でここまで変わるのでしょう。それは債務の有無です。JR北海道は国鉄債務負担を免除されました。その上で経営安定基金を付与され、その運用益で赤字をカバーすることにしました。そのため、最低限の車両などの設備に投資する資金は用意でき、設備改善で客が増えれば、さらにそれを投資に回せるというサイクルが生まれます。経営安定基金自体は税金ですが、これを取り崩すことは認められず、その運用益は税金では無いので、国としても補助金などで赤字補助する必要がないわけです。あくまでJR北海道は自主的に運営できる土壌を手に入れたのです。

 中曽根内閣が行った「民営化」の筆頭とも言うべき国鉄の分割・民営化について言えば、これが政府の一部門の「破綻処理」であり、一種の事業再生であったことは明らかである。
 だが、信用面では、「民営化」は行われたのだろうか?
 国鉄・JRの信用面に着目すると、国鉄時代の資金調達は、債券(主に)縁故債と借入金(主に資金運用部資金)の二本柱だったのが、JRになってからは借入金主体へとシフトしていることが分かる( 国鉄の資金調達システム:経営破綻と民営化・p17)。
 JR以降で注意すべきは、当初は民間借入金が増加していたが、やがて頭打ちとなり、代わりに日本開発銀行(当時)からの借入金が激増したことである(JR東日本:平成10年時点で約4000億円)。
 当時、日本開発銀行(当時)の融資は、資金運用部資金が主たる調達源となっていた。
 もっと細かいデータが欲しいところだが、差し当たり、「国から民間へと負債を付け替えようとして、最初は上手くいくかのように思えた。だが、その後民間金融機関に限界が来て、政府系金融機関への依存度が高まった」という分析が可能だろう。
 おおざっぱに言うと、結局のところ、中曽根内閣による「民営化」は、直ちには、「国庫(ないし公庫)という一元的信用装置」の解消には向かわなかったのである。
 
コメント
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