Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

最後の棒倒し(6)

2023年03月26日 06時30分00秒 | Weblog
 木庭先生によれば、「改革」路線は日本社会破綻の直接的な原因だったという。
 そして、竹中平蔵氏は、”構造改革”を主導した人物とされているが、私は、彼は「日本棒倒し教」の開祖だと思う。
 彼(+小泉元首相ら)が行った政策のうち真っ先に挙げられるのは、おそらく「郵政民営化」だろう。
 これについては、私見では、彼の出自が大きく関係していると思う。
 中曽根内閣時代の「民営化」は、主に”出口”(運用)の失敗の後始末だった。
 ところが、竹中氏らが問題視したのは、”入口”(調達)の方であり、ゆうちょ・かんぽなどの膨大な資金であった(だが、民間金融機関ではなくゆうちょに資金が集まりすぎるということは、民間セクターにおける信用の機能不全の反映であり、こちらに手を付けなければ問題の抜本的な解決にならないのは当然のことだった)。
 さて、竹中氏は、前回指摘したとおり、ゆうちょ・かんぽ資金を原資として投資・融資を行う財政投融資機関の一つである”カイギン”出身であり(但し、仄聞するところでは、ハッピーな辞め方はしていないらしい)、このシステムが抱える「調達と運用の組織的な分離」という最大の問題について知悉していたはずである。
 すなわち、このシステム(「第二の予算」)にビルトインされている、プリンシパル=エージェント理論によって説明されるような、おおざっぱにいえばモラル・ハザードの問題のことである。
 竹中氏は、(善意に解釈すれば)これを「民営化」によって解決しようとしたわけであるが、事態をより深刻化させる結果となった。
 なぜなら、最大の問題は”国家”の不存在/不成立であって、そのため「私」による「公」の潜奪が容易に行われてしまうところにあったというのに、竹中氏は、「私」による「公」の潜奪を、”合法的に”、かつ大々的に行う例を作ってしまったからである。
 おそらく、これほどの膨大なカネ、つまり巨大な”棒”が「野に放たれた」のは、日本史上初めてのことだったのではないか?
 このとき、「日本棒倒し教」が公式に発足したといってよいだろう。
 予想したとおり、様々な怪しげな集団が、この”棒”をめがけてまっしぐらに突進してきたのである。


コメント
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