「『ローマの謝肉祭』はフランス人が描いたイタリアなら、こちらはフランスで学んだイタリア人が、フランスのために描いたイタリア。こうして伊仏の異なったからみ合いを、バッティストーニの鮮やかなタクトで聴けるのだ。 ・・・
サン=サーンスがその特性を熟知していたオルガンを使いながら、明快な旋律線と澄んだ響きを、まさにエッフェル塔のように重ねていった曲で、事実、作曲家自身が「私のすべてをつぎ込んだ曲」だと語っている。それが証拠に、その後の人生でサン=サーンスは二度と交響曲を書くことはなかった。 」
メインディッシュはサン=サーンスだが、今年はなぜかこの作曲家の曲が上演されることが多いように感じる(10月定期演奏会もそうである。)。
注目のバッティストーニだが、上下に激しく動く、いわば「飛び跳ね奏法」とも言うべきスタイルで、先月のプレトニョフの「指さし奏法」とは対照的である。
おそらく、プレトニョフの5倍くらいのカロリーを消費しているのではないだろうか?
”上下の動き”と言えば、ピアニストも力を込めると半分くらい立ち上がるような姿勢になることがあり、先日の亀井聖矢・重森光太郎両氏もそうだった。
これが完全に立ち上がってしまうと、「アンジェラ・アキ奏法」となる。
さて、次回(5月)は再びプレトニョフの指揮だが、彼はロシア・ナショナル管弦楽団を解任され、現在はスイス在住だという。
彼は、プーチンについて、次のように語っている(プレトニョフとラフマニノフ国際管弦楽団)。
"Putin is not the cause of the problem, he is only a consequence. The problem is, Russia has not yet made its way to democracy. "
(プーチンは、問題の原因ではなく、結果に過ぎない。問題は、ロシアがいまだにデモクラシーに向かっていないところにあるのだ。)
私見では、日本も、”内発的に”デモクラシーを生み出すような国ではないので、ロシアと似たような問題を抱えているはずである。
つまり、他人事ではない。