パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

ドラゴンボールとブルックナーの交響曲第8番

2008年11月23日 18時42分47秒 | Weblog
先日、何かの機会にアラレちゃん音頭を耳にして
懐かしーと思った刹那
あっけらかんとしてこの屈託のないギャグ漫画精神は
続く鳥山明氏のドラゴンボールにも
始めは引き継がれていたのに
いつの間に強さを求める、男の子の漫画にありがちな
物語に変わってしまったことを思い出した

それは編集部とか雑誌社の意向が働いてのことだが
それが商業ベースでは成功したものの
鳥山明氏の考えとどうだったのかな?と考えてみると、
不意に、書き直させられたブルックナーの8番の交響曲のことに思い至った

(ブルックナーは8番に限らず他の交響曲も友人、批評家などの意見を取り入れて
 改訂を行っているが)
あまり演奏されたり録音されたりすることのない
8番の交響曲の初稿版を聞いてみると
起承転結の、ハッキリしたドラマティックな改訂版と比べて(原典版と言われているが)
よりオルガンの響きが表に出て、唐突な神の賛美も定番的に現れ
自然への魂の沈潜も見られ、普段聞くものよりは
ただただ音の構造物を聞いたという感じが残る

この交響曲も一般受けするために書き直させられた(?)のだが
ブルックナーの本当の個性というのは初稿版にあるのではないのだろうか
確かにとりとめもなく、どこに行くかわからない
みたいなところがないではないが
それでも我慢して(?)音に身を任すと
これが結構心地よくなるのも事実だ

ドラゴンボールの始めの頃
ブルックナーの交響曲
それらは結局時代の要求を理解しているとされた第三者の
意見によって本来の個性とは違ったものを
(職人的な技で応えていくのだが)
作り出してしまった

どうせなら本人の思い通りのものも聞いたり見たりしたかった
売れなきゃ世に出ないし
聞きやすく理解しやすくなけりゃ演奏会に取り上げられないけれど
なんだか少し残念な気がする


コメント
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