パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

美しく見えるのは、背景に石油製品が映っていないから?

2009年07月29日 20時19分36秒 | Weblog
年齢を重ねると日本的なものを好ましく思うようになっていくらしい
食べ物では好みが肉から魚や野菜、洋食から煮物などの和食へ
音楽では演歌が身にしみて共感できたり
映画でも邦画の方が字幕を苦労して読まなくても容易に楽しめる
そして旅行は国内の温泉にまったりするのが好ましく思われたりする

こんな風には、自分はならないつもりでいた
しかし、保守的というのではなく
また古いものを無条件によしとするのではないが
昔の日本には確かによいものがあったかもしれないと
「英国人写真家の見た明治日本」(この世の楽園・日本)
ハーバート・G・ポンティング 長岡祥三 訳
を読んで(見て)みると、そのように思わざるをえない

白黒の写真に写る昔の日本は、なんと美しいことか
確かに古くさい、だがその写真には異常にカラフルなものも
簡単に安価につくられる石油製品も映っていない
そこにあるのは自然素材で手間隙かけてつくられたものばかり
そしてそれらは背景となる風景となんと違和感無く収まっていることか

どうもこれは昔ものを有り難がる気持ちとは少し違う
昔に戻れ!というのでもない
昔を単に賛美したり懐古するだけではない
だが、今の世の中は何か違っていやしないか!
と理屈を越えて感情に訴えかけて
考えさせるきっかけとなりうる

それにしても非効率というものの
手間隙かけたものから滲み出る魅力とか美しさは
やはり否定しがたい

話は毎度のことながらそれてしまったが
この本、文章がものすごく上手い
これが翻訳とはとても信じられないくらいで
書き写して真似しようかと思うくらいだ





コメント
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