明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



午前中、撮影に使える物を探しに富岡八幡の骨董市へ出かける。まずは未開封の夏目漱石も吸っていた煙草「朝日」。フイルター部分ががらんどうの筒で、これをぶっちがいに十文字に潰して吸う。学生の頃安いのでたまに吸っていたが、76年に1台残る製造機が廃棄処分になるというニュースに1カートン買った覚えがある。記念に取っておくつもりがすぐ吸ってしまった。物色中の客が黒い円筒状の物を持ち「これなに?」骨董屋「双眼鏡」。客「?水筒じゃねえか」。に笑う。“双眼”ですらなく、火事場から直行してきたのか?  生け花などを床の間に飾ったであろう趣のある花台があった。横50センチ程で、側面に波に千鳥。これに圓朝を座らせ展示の際の高座に見立てることにした。欅の使い込まれた風合いが圓朝を座らせるに充分である。入手済みの高さ50センチ幅1メートル強の金屏風を背後に配したら映えるだろう。9千円の所、千円まけてもらう。これで準備は万端。だったら早く色を塗り始めろ、という話である。 作り終え撮影してしまうと、あれほど愛情を持って接していたのに、くるりと背を向け煙草を吸ってしまう。そんな自分を判っているので、今のうちに逢瀬を長引かせ楽しんでおきたい。そんなところであろう。
HP

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