沼野充義氏の『1Q84』Book 3の書評(『毎日新聞』4月25日)を興味深く拝読しました。
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20100425ddm015070006000c.html
ここで沼野氏は「ボーイ・ミーツ・ガール」という表現を実に効果的に出されています。(沼野氏は超一流の書評家ですし、この人の書評はいつ何を読んでも感心します。)
今日のGetUpEnglishでは、このboy-meets-girlという英語の表現を学習しましょう。
このboy-meets-girlという形容詞は、直訳すれば「少年が少女に会う」となるが、「紋切り型のロマンスの、お定まりの(恋物語など)」という意味で口語表現でよく使われる。ハイフンが付くので注意しよう。次のような形で使われる。
○Practical Example
"When Tengo was asked to cut his story, he refused."
"I know. He said to his editor Komatsu, 'I can’t. It’s no boy-meets-girl story.'”
「天吾は自分の書いた小説を短くするように言われたが、拒否した」
「知っている。編集者の小松に言ったんだ。『できません。それはお決まりのラブストーリではありません』 」
●Extra Point
次のような形でも使われる。
◎Extra Example
"I think Romeo and Juliet is one of the most archetypal boy-meets-girl stories."
"But it is undoubtedly the greatest love story ever written."
「『ロミオとジュリエット』は、典型的なお定まりの恋物語の一つだと思う」
「でも、今まで書かれたもっとも偉大なラブストーリであることは疑いない」
そしてtrfのヒット曲に"Boy Meets Girl"がありましたね。(こっちを思い出された方も多いのでは?)
『賜物』
ウラジーミル・ナボコフ 著
沼野充義 訳
定価2,730円(本体2,600円) ISBN 978-4-309-70962-8 C0397
ベルリンに亡命した青年が、世界的な蝶の研究者である偉大な父への追憶を抱きつつ作家として自立するまで描く。祖国への思いを込めたナボコフ最後のロシア語小説を原典から初の邦訳。
ウラジーミル・ナボコフ (ナボコフ,V) 1899年ペテルブルク生まれ。ロシア革命によりベルリンに亡命し、ロシア語で執筆を開始。1940年には米国に移住し、大学で教えながら英語で執筆する。代表作に、本書の他『ロリータ』『アーダ』など。
沼野 充義 (ヌマノ ミツヨシ) 1954年東京生まれ。東京大学教授。著書に『亡命文学論 徹夜の塊』『W文学の世紀へ 境界を越える日本語文学』など、訳書に『ナボコフ短篇全集』(共訳)、ブロツキー『大理石』、レム『ソラリス』など。