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久居駐屯地創設55周年記念行事 駐屯地祭観閲行進待機車輌編

2007-07-08 15:23:55 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■第33普通科連隊の装備車輌

 四月二十二日、三重県の陸上自衛隊久居駐屯地において、駐屯地創設55周年記念行事が行われた。本日から、久居駐屯地祭特集を何回かに分けて掲載したい。第一回の今回は、C.ジョニー氏一行と合流した後に撮影した待機車輌である。

Img_9135_1  式典会場の背景には第33普通科連隊が使用する車輌群が並べられている。本部管理中隊の車輌や、第三中隊の高機動車、第四中隊の軽装甲機動車、対戦車中隊の79式対舟艇対戦車誘導弾搭載の73式小型トラック、そして重迫撃砲中隊の120㍉重迫撃砲と重迫牽引車が並んでいる。後ろには保存機であるV-107大型ヘリコプターが置かれている。

Img_9125_1  第33普通科連隊は、中部方面隊では最初の軽装甲機動車受領部隊であり、2002年ごろには行事への参加を開始している。導入当時は、こんな田舎連隊に新鋭装備が、と驚いたそうだ。しかし、暗視装置を装着しての不整地突破訓練などを精力的に取り入れ、第十師団の准装甲化に範を示すべく注力したのは想像に難くない。

Img_9115_1  並ぶ連隊の車輌。師団改編により各普通科連隊へ対戦車中隊が新編、12基(参考資料:月刊軍事研究386号)の重MATを配備したことで、連隊の対戦車火力は大幅に近代化した。また、重迫撃砲の107㍉から120㍉RTへの更新も連隊の火力投射能力を大きく高めている。

Img_9129_1_1  車輌群を異なる角度から撮影。車輌化が進み、従来の徒歩に頼る普通科連隊を知る人たちからは違和感をもたれるかもしれないが、地形防御に頼る従来の戦闘体系からの脱却を期したものであり、機動力の充実と装甲防御力の充実は、年々完成にむけ進められている。

Img_9128_1  本部管理中隊の待機車輌。

 資材運搬車や電子交換車などが並んでいる。本部管理中隊には、中隊本部、本部班、人事班、対狙撃班、情報小隊、通信小隊、輸送小隊、衛生小隊、管理整備小隊、施設作業小隊などが置かれている。

Img_9126_1  待機車輌から式典会場を望む。紅白幕が掛けられた観閲台や立体席の背後にもグラウンドは広がっており、縁には空砲照準訓練用の標的、また、市街戦訓練に用いるのだろうか、木枠と扉が連なった骨組みだけの仮設家屋群も並んでいた。

Img_9121_1  79式対舟艇対戦車誘導弾を搭載した73式小型トラック。川崎重工により開発されたもので、舟艇対処時には近接信管式HE弾頭を、対戦車用途ではHEAT弾を使用する。ミサイル後部にキセノンランプが装着しており、射手はIRセンサーを照準線に合致するようワイヤーを通じミサイルへ信号を送る。

Img_9119_1  誘導弾の重量は33kgと比較的重く、有効射程は4000㍍、飛翔速度は200㍍/sである。従来は師団の対戦車隊に16基程度が配備されていたが、連隊への対戦車中隊新編により数量は増加している。ただし、師団によって差異はあるようだ。

Img_9134_1_2  120㍉重迫撃砲RT。通常弾での射程は8100㍍、射程延伸用RAP弾での最大射程は13000㍍に達する。従来の107㍉重迫撃砲M2が、最大射程4000㍍であったことを考えれば大きな性能向上であり、重量こそ151kgから600kgと増加しているが、M2は分解組立を行っていたのに対して120㍉RTは、車輪による牽引が可能である。

Img_9120_1  重迫牽引車。トヨタ自動車製の野戦車輌で、重迫撃砲の備品扱いであるが、この他、高機動車として普通科部隊の野戦機動用に使われ、96式多目的誘導弾システム、93式近距離地対空誘導弾などなどワークホースとして用いられている。

HARUNA

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