■第304保安中隊
駐屯地創設55周年という節目の年にあたり、2007年の久居駐屯地祭では、中部方面隊直轄の第304保安中隊が伊丹駐屯地より展開し、ライフルドリルを展示した。
方面総監直轄の警務科部隊である保安中隊は、司法警察業務や保安職務に当たるほか、方面隊を訪れる高官に対して儀仗及び栄誉礼を行う任務を有する。ちなみに栄誉礼を受けることが出来る栄誉礼受礼資格者は、自衛隊法施行規則により定められている。
保安中隊は、中隊本部と三個小隊より成り、特別儀仗の場合は一個中隊を以て執り行い、その他の場合は一個小隊、もしくは二個分隊により執り行う。選考基準は厳しく、身長は175~180cm、体重は60~70kg、裸眼視力0.3以上で体力検定3級以上、貧血症癲癇症でなく、非行歴の無い勤務成績が良好で骨格良好且つ容姿端麗な隊員が選抜される。
師団や旅団行事などでも臨時に儀仗隊が編成されるが、基本動作などでは保安中隊の方が厳しい訓練をこなしている。基本教練には特に重点が置かれ、ある本によれば「どんなに暑くとも汗をかくな」「1ミリ前へ」という厳しい命令が出されるとのこと。
保安中隊が使用するM1小銃。米軍において1929年から1957年まで制式小銃として採用され、450万丁が生産、警察予備隊でもM-1騎銃に続き供与されたもので全長1106㍉、重量4.8kg、クリップ式8連発半自動小銃である。これを軽々と取り回すことが出来る体力と練度が保安中隊の隊員には最低限求められる。
着用する特別礼装は、袖章の入った上着、縦線の入れられたズボン、左肩の金モールから成っている。特に身だしなみへの気遣いは大変なものであり、散髪費用などは私費で常に国賓来賓に恥ずかしくないよう心がけているとのことだ。
第33普通科連隊の喇叭演奏が同時に行われる。吹奏楽には肺活量が不可欠であり、肺活量の充実には体力練成が第一である為、実は喇叭教育は大変厳しいものだとのこと。突撃や食事、起床就寝の他、毒ガス攻撃の警報なども楽譜にあるという。
動画ではないと中々伝えられないほどの見事なライフルドリル、喇叭演奏訓練展示へ有終の美を飾るのは、日章旗である。周りでは保安中隊の隊員が捧げ銃の姿勢をとっている。
こうして駐屯地祭は、部隊による訓練展示である、災害派遣展示へと進んでいく。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)