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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京都祇園祭 ドキュメント山鉾解体 来年の祇園祭まで

2007-07-26 20:20:36 | 写真

■山鉾解体

 京都祇園祭特集、山鉾巡行と宵山の詳報に先んじてお伝えするのが、今回の山鉾解体である。小生も稀に勇壮な山鉾巡行の様子をテレビで見て急いで駆けつけたが、山鉾はどこ?という質問を受けることがある。

Img_5255  山鉾巡行や宵山に用いられる32基の山鉾は、地元の保存会の手により祇園祭の期間を除き、解体され、保存されている。犬山の山鉾なんかはそのまま格納庫に収納されているようだが、祇園祭の山鉾は解体される、これは特に面積などの限界から起因するものであろう。

Img_5263  宵山の際にカメラを手に歩いていると、立体駐車場などで、“祇園祭の山鉾が置かれている期間は営業を休止します”と書かれた説明をよく見かける。動く美術館と称されるこの山鉾、保守管理などの観点からも、あまり長い期間、路上に置かれているのは望ましくない。

Img_5189_1  しかしながら繰り返すように、最も高いもので高さ25㍍前後、重量は12㌧にも達するこの山鉾を解体するのも一仕事である。人のいる高さでも8㍍、40~50名も乗っているのだ。

Img_5214_1  祇園囃子を奏でる楽器、これを下ろすことから山鉾の解体は始まる。同時に、長い山鉾巡行の時間に必要な糧秣飲料水の廃棄物を山鉾からも下ろさねばならない。なお、曳き手には学生の有志による参加があるが、特殊な技術を必要とする解体となれば、話は別である。

Img_5212_1 特殊な技能が必要とされる解体作業は、地元の山鉾保存会の手により行われる。これも40~50名の力を合わせて行う作業である。写真は、ゴミ出しの様子。

Img_5249  山鉾に向かうトラック。

 5インチロケット砲のようなものは、解体に必要な足場や梃子として用いる角材である。また、車輪などは一部別の保管場所に置かれることもあり、規制道路の中を縫うように各種車輌が集結を始める。

Img_5257_1  まずは車輪を外す。こればかりはクレーンを使うわけには絶対いかないので、人力である。しかし、中々持ち上がらないと、角材にぶら下がったりする様子も各所で見られる。掛け声とともに山鉾が持ち上がる様子に、周囲からは拍手が送られることもある。

Img_5265_1  写真は全部で四。持ち上げる班と車輪を外す班が必要となり、双方共に気の緩みが大事故を起こす危険がある。また、見学者が周りに居るということもあり、不測の事故を避ける為に、見学者や作業を行う保存会の人たちとの阿吽の呼吸が形成されてゆく。

Img_5234_1  取り外された車輪。見ての通り身の丈よりも大きなものだ。こうして山鉾は台座の上に置かれる。ここまでの工程も、やはり工具の類は用いず、人力に頼る。

Img_5232_1  当然ゴムタイヤなどではなく、木製のものである。更に当たり前ながらサスペンションもついていない。他方、曳く速度が遅いので乗り心地は悪くないとか。

Img_5268_1  山鉾解体に使用されるクレーン車が到着した。主に車輪などを格納するもので、取り外した車輪がどこに保管されるかは、浅学ながら不明である。

Img_5275  車輪を吊り上げた瞬間。やはり重いのだろう。特にクレーンを大きく旋回するわけにも行かず、狭い路地である為に慎重な作業が求められる訳だ。

Img_5231_1  トラックに車載された状態ではやや小さく見える角材もこうしてみると大きい、そして恐らく重量も相当なものだろう。こうして車輪を外し、周りを囲む構造物を分解していき、最後には骨組みを組み接がして山鉾は解体されるのである。

Img_5243_1  これは大切なものなので絶対に落とさないように、保存会の人が青年に声を掛ける。動く美術館といわれる山鉾は、全てにおいて間違いは許されないものである。そして伝統として再び来年、疾病退散を期して、祇園祭に姿を現すのだろう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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