■相国寺散策
先日、友人のH氏とともに烏丸今出川の方へ昼食に出かけた。美味しい料理を楽しんだ後、時間に若干の余裕があった為、そのまま散歩ということで相国寺へ足を進めた。
相国寺は、1392年に竣工した臨済宗相国寺派の総本山で、場所は地下鉄今出川駅から徒歩五分強。
承天閣美術館以外は自由に中を散策することが出来、また自転車や徒歩の生活道路として利用している人も多いようである。
総門を今出川通りから望む。左右には同志社大学と同志社女子大学の美しい赤煉瓦の建築物群がみえる。撮影した今出川通の反対側には京都御所がある。考えてみれば、この一角は、この国の多文化共生社会を端的に表わしているのだなあと思った次第だ。
総門から奥を望む。入って左手に天界橋と、並んで三門址、仏殿址と続き、その裏手には毘沙門天を祀る養源院が所在する。右手には玉龍院、光源院と続くが、非公開である。しかしながら、続く境内の様子や門から開かれた庭園などを見て歩くのは楽しい。
天界橋。その向こうに見える門は勅使門である。竣工は1392年であるが、1394年に伽藍が火災で焼失、1425年にも火の不始末で全焼、応仁の乱では細川氏の本陣として活躍し、結果やはり1467年に全焼。その後も権力争う歴史舞台となり、1551年にも火災に見舞われている。
法堂。法堂にいたる三門、仏殿は応仁の乱での焼失後、再建されることなく、底に並ぶ木々が時代の変化を印象付ける。ちなみに、この法堂は1605年に豊臣秀頼により再建されたものである。住職の西笑承兌により16世紀後半に多くが再建されたが、1620年、1788年の火災で焼失したものが多い。
相国寺開山堂。その下に見えるのは弁天舎。この隣には鐘楼がある。寺院の中に鳥居というのは案外多く見るものだが、考えてみれば、これも多文化共生社会の一端というべきか。単純な二元論で物事をみるのでは本質が見えないという受け止め方をするのは小生だけではあるまい。
承天閣美術館への方角を示した看板。特別拝観として法堂鳴龍、方丈庭園、浴室(宣明)などがあるが、春期で3月24日から6月4日まで、秋期で9月15日から12月8日までとのこと。御所の時代祭と併せて拝観するのがいいかもしれない。
特徴的な屋根の建物は宗務本所。妙心寺などでもみかけたものだが、換気などで用いるのだろうか。しかし、京都は暑い。蒸し暑い。盆地だから熱気がこもるのは致し方ないが、神戸、名古屋、横浜と出かけた街はかなり涼しく感じる。夜窓を開けると余計暑い熱気が入ることもあり、この湿気、換気が重要なのだろう。
宗務本所、方丈など。右手には重要文化財の法堂がみえる。宗務本所は、見る角度を変えると異なった印象、犬山城天守閣みたいな印象である(用途は違うし、建築目的も異なるが)相国寺の再建建物の多くは19世紀に再建されたものが現存しているとのことである。
宝塔。右手を行けば、法堂と方丈の隣を抜け、北門に至り、左手に行けば瑞春院、養源院の間を抜け、西門に至る。梅雨空の下、できれば青空、とは思うものの寺社仏閣の清涼な空気は研究への活力と端緒への道筋を示してくれるように感じた次第だ。
HARUNA
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