■観閲行進準備へ
指揮官訓示、来賓祝辞、祝電披露を終えて駐屯地祭は観閲行進へ進む。本日は、観閲行進準備の様子が眺望できる位置から撮影したこともあり、その特集を掲載したい。
観閲行進に参加する車輌が駐屯地創立記念行事において、部隊整列の背後に置くには相応の会場面積の必要があり、中部方面隊管区内(3師10師管区)では、経験上、豊川駐屯地や今津駐屯地などごく一部でしか見ることが出来ない。他方で、乗車の様子などをつぶさに見ることが出来る。
隊員の立ち位置から推して赤い旗は普通科中隊旗で、対戦車中隊旗であるとおもわれる。
軽装甲機動車に駆け寄る第四中隊の隊員。軽装甲機動車は、れっきとした装甲車であるが、乗車帽など、機甲科隊員が戦車乗車時に使用するようなものではなく、通常の89式鉄帽を着用している。となりの高機動車は重迫撃砲中隊の重迫牽引車。
重迫撃砲中隊の車輌乗車の様子。後ろには駐車場から駐屯地までの通路があり、ここで撮影を行えば乗車の様子を間近に見ることが出来る。また観閲行進ではグラウンドを一周し、ここを通り駐屯地へ入っていく為、観閲行進の撮影も容易である。
戦闘防弾チョッキ2型を着用する誘導隊の隊員。重量がある為、長時間着込むには限界があるとのこと。その後ろにみえる華やかな旗は、自治体旗で、各中隊は観閲行進において中隊の担当管区である市町村の旗を掲げて行進する。
待機位置へ前進を開始する軽装甲機動車。定員は四名であるが、車内後方にはかなりの空間的余裕がある。事実、2005年の伊丹駐屯地祭では、36連隊の軽装甲機動車が後方のスペースを活かし多くの隊員を仮設敵陣地のある建築物まで輸送している。
軽装甲機動車は、2006年度予算調達分を含め、約900輌が調達されており、普通科部隊のみならず、機甲科部隊である偵察隊への配備が始まっており、将来的には施設大隊の施設中隊向け、戦車大隊や特科連隊の本管中隊情報小隊へも配備がなされるのではないだろうか。
また、基地警備用に航空自衛隊への配備も開始されており、可能性としては海上自衛隊も航空基地や艦艇基地の警備用に配備開始することが挙げられる。ただ、陸上自衛隊、装甲機動車ではなく、軽装甲機動車である為、大口径の重機関銃弾への対処は想定されていないことがわかる。
重迫撃砲中隊。ライトが勇ましい。写真からは確認しづらいが、120㍉重迫撃砲を牽引している。車内には弾薬固定用の金具が増設されており、高機動車のファミリーとして、重迫牽引車という別車輌扱いとなっているようだ。迫撃砲については、81㍉迫撃砲も高機動車により運搬している部隊がある。
最大射程はかつての105㍉軽砲並みの13000㍍に達する。ただ、持続射撃能力や、初速の関係から生じる命中精度などは、榴弾砲には及ばない点がある。他方で、軽砲の任務の一つに迫撃砲の制圧が挙げられ、射程ではこれに対抗できる重迫撃砲が装備されたことは普通科連隊の能力を大きく押し上げたといえる。
観閲行進に参加する車輌は、待機位置から前進し、車列を回り、その背後から式典会場の外周道路的な道をまわり、会場へと向かう。
写真でも、重迫牽引車の後方には観閲行進へ向かう軽装甲機動車が確認できる。
対戦車中隊の車輌が移動を開始する。同じ第十師団の第35普通科連隊では、対戦車中隊の73式小型トラックは新型に換えられている。路上性能などでは、新型の方が優れていると聞く。部隊が待機位置に到達すると共に、いよいよ観閲行進の開始である。
HARUNA
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