■普通科部隊の徒歩行進
第33普通科連隊を初めとして、全国の普通科部隊では高機動車や軽装甲機動車の配備が極めて早く進められている。聞くところでは師団改編を終えていない従来装備の部隊はもう数えるほどしかないとのことだ。
しかしながら、C.ジョニー氏やT氏の配慮で、立体席最上という最高の立地から撮影することが出来、徒歩部隊を理想的なアングルで撮影することが出来た為、今回は観閲行進を車輌編と徒歩編に分けて掲載することとしたい。
観閲行進の第一弾は、第十音楽隊の入場である。毎回駐屯地祭では驚かされることがあるのだが、師団行事とあれば休日返上で式典に参加し、観閲行進では徒歩行進から車両行進まで一貫して演奏を続ける音楽隊の隊員の士気の高さと、演奏の迫力には驚かされるものがある。
久居駐屯地司令、第33普通科連隊長甲斐1佐の前を観閲部隊が進む。
徒歩行進の先頭は、連隊幕僚の乗車した車輌による行進である。82式指揮通信車には33連隊の連隊旗が掲げられている。徒歩部隊の歩調に合わせ、比較的ゆっくりと行進する。
部隊による徒歩行進の先頭は、レンジャー教育中の隊員による徒歩行進である。陸上自衛隊には、レンジャー隊員のみによる部隊はまだ存在せず、第一空挺団や西部方面普通科連隊、緊急即応連隊、普通科連隊情報小隊などに優先的に集められている程度である。しかし、教育訓練は行われており、課程終了後は原隊に復帰、部隊の練成強化にあたる。
顔面にも迷彩を施し、ロープを肩に回して89式小銃を携帯する。鉄帽も装備せず、まさに人間本来が持つ能力を最大限に引き出す、映画の“野生の証明”ではないが、限界を知る、そして克服することで精強な個人資質を培うのがレンジャー課程の目的であるとされる。
続いて、誘導隊による観閲行進である。在外邦人保護などの目的で派遣される部隊で、危険な地域から安全な地域へ誘導を行う部隊である。したがって、少数の部隊であっても任務を遂行することが可能な精強な人員を集めて任務にあたっている。
誘導隊の隊員は、防弾プレートが装着された戦闘防弾チョッキ2型を装備しているが、写真をみると、背中の部分に防弾プレートが収められていることが良くわかる。幾度か着用したことがあるが従来の砲弾破片に対処する戦闘防弾チョッキとくらべて、高い防護性を有しつつ、重く硬いのが難点だ。
第一中隊の観閲行進。中隊からは五個小銃班が選抜されて参加している。この他中隊には、重機関銃などを装備する中隊本部や、81㍉迫撃砲を装備する迫撃砲小隊、中距離用の対戦車ミサイルを運用する対戦車小隊があり、戦闘基幹部隊としての能力を有する。
1992年から配備が開始された迷彩2型戦闘服は、難燃性の素材に赤外線に探知されにくい染料を用いて着色されている。
また、88式鉄帽はケブラー製で、軽量且つ高い防護力を有している。手にしているのは89式小銃。
小銃班の分隊火器として89式小銃と共に装備が進められているのがMINIMI分隊機銃。重量が6.85kgと比較的軽量で、小銃弾と同じSS109規格5.56㍉小銃弾を使用する。基本的に200発入箱型弾倉を使用するが、小銃用の30発弾倉も使用可能である。銃身命数は250発程度であり、軽量化と共に素早い銃身交換も可能である。
2001年に制式化された普通科部隊の新装備、01式軽対戦車誘導弾。射程は1500㍍とされ、こちらからは一切、電波やレーザーを発しない赤外線画像誘導方式を用いており、爆発反応装甲に対応する弾頭を採用、瞬発交戦能力に優れ、民生品を多用したことでコスト低減に寄与している。小銃班の新装備である。
観閲行進の徒歩行進も終わりに近付き、車輌行進に備えての部隊が外周道路沿いに続々と集結している。中隊旗以外の様々な旗は自治体旗で、各中隊ごとに担当の市町村が割り当てられており、災害派遣などでは当該自治体の救助などにあたる。
前期教育中の新隊員。着剣した64式小銃が勇ましい。64式銃剣は長さが実に41㌢もあり、聞くところでは旧軍の30年式銃剣とM-1カービン用の銃剣の中間の長さとのこと。着剣したAK-47とならば、リーチがとれて有利そうだ。
着用している鉄帽は旧式の66式。700㍍の距離で発車された7.62㍉NATO弾に対する防護力が期待できるとのこと。
手にしている64式小銃は重量が4.4kgもあるとのことで、慣れるまでは大変であろう。
駐屯地外周道路にそって一般にも開放されており、カメラを手にした一般観覧者が観閲行進を間近に見学している。既報記事にも記したが、広い式典会場であるので見学は容易だ。前期教育中の新隊員の行進とともに徒歩行進が終了し、同時にいよいよ車両行進へと移る。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)