◆海上自衛隊派遣!
海上自衛隊は、日本という巨大経済大国の海上からの防衛とシーレーンの防衛を担うという目的を達成するためにその責務を果たすべく一定の規模を維持しているのですが、そうした背景から一種の国際公共財としての地位を担っています。
結果、各国との訓練への参加を求められる事もあり、日本の姿勢と国家の規模が地域安定に寄与しているともいう事が出来るでしょう。さて、海上自衛隊HPに発表されたところでは海上自衛隊より、明日から実施される米韓合同軍事演習へ4名のオブザーバーを派遣する事となったとのことです。
米海軍、韓国海軍から招待を受けた米韓合同軍事演習は、北朝鮮による韓国艦撃沈事案を受けて実施される対潜演習で、当初は米韓連携の象徴的な訓練となる予定でしたが、中国政府からの反対や中国海軍の対抗するような時期と海域での演習に対応する形で規模は拡大したようです。
当初は米海軍の巡洋艦を交え、十数隻程度が参加するとみられていたのですが、原子力空母ジョージワシントンを筆頭に艦艇数十隻が参加、米空軍のF22戦闘機を筆頭に200機もの航空機が参加する大演習となってしまい、対潜演習という割にはレッドオクトーバを追え的な演習になりました。
海上自衛隊が派遣するのは海上幕僚監部防衛部の1佐、ほか3名を派遣するとのことで、米海軍の原子力空母ジョージワシントンに乗艦し、米韓合同軍事演習をオブザーバーの立場で見学するとのことです。この種の訓練は日本にも影響が及ぶ事態を想定しているので、同時に後方で警備演習を実施してもいい、とは思うのですが、今回はオブザーバーを派遣する、との発表です。
護衛艦を派遣する協同訓練について。ヘリコプター搭載護衛艦ひえい、が日ロ捜索救難共同訓練の実施へ現在ロシアを訪問中です。今回で11回を迎える日沿捜索救難共同訓練へ23日から27日までロシアを訪問する事となっており、派遣部隊は現在、ウラジヴォストークに寄港しています。
訪問しているのは、第4護衛隊群司令山村浩海将補指揮下の護衛艦ひえい、じんづう、でSH-60J哨戒ヘリコプター2機が搭載されています。海上自衛隊HPに発表された計画によれば部隊は20日に大湊基地を出航、23日にウラジヴォストークに入港し27日に出航、29日に函館へ戻るという計画です。
訓練は27日にウラジヴォストーク沖で実施、ロシア海軍からはミサイル駆逐艦やフリゲイトが参加すると発表されました。ロシア海軍側の指揮官は現在確認中とのことです。この種の訓練は訓練内容そのものに加えて信頼の醸成が多分に大きな目的となっており、ボストーク2010演習の後に行われてこそ、意義があると言えるやもしれません。
もうひとつ、海上自衛隊が参加する演習について。シンガポール海軍が主催する第5回西太平洋潜水艦救難訓練パシフィックリーチ2010へ、海上自衛隊は第3潜水隊の潜水艦あらしお、を派遣します。この訓練は潜水艦救難技術の向上と参加各国の信頼醸成を目的として実施されている訓練で、26日から9月16日まで派遣されます。
訓練は8月17日から8月25日まで、とのことで、洋上訓練は東シナ海、陸上訓練と行事はシンガポール海軍のチャンギ基地で実施されます。指揮官は第3潜水隊司令の大河内哲朗1佐。シンガポール海軍他米海軍、海上自衛隊、豪州海軍、韓国海軍が参加予定で、深海救難艇を用いた乗員救出訓練や医療訓練、シンポジウムなどを実施するとのことです。
現在、海上自衛隊では海賊対処任務等の実任務や日本周辺での警戒監視活動に加えて、リムパック環太平洋合同演習へ部隊を派遣しています。しかし、その一方でこうした国際訓練にも部隊を派遣、オブザーバーを派遣することで、日本のプレゼンスや安全保障政策の表明を行う事となっています。
HARUNA
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