◆次世代を想わせる加速力と機動力を展示!
本日実施されました富士学校祭、一時は霧が流れ込むように迫る中で行事中は雨滴は飛んだものの降雨とはならず、式典、観閲行進、訓練展示が行われました。
富士学校祭で最も注目されたのは制式化成った新戦車である10式の機動展示です。本車は90式戦車に続く国産第四世代戦車として開発が進められ、各国が第三世代戦車への防御力付与による戦車の超重量化に対して一石を投じるべく自動化による車内容積の縮減により軽量と高防御力を同時に達成、強力な国産砲による世界最高の機甲打撃力、アクティヴ式懸架装置の採用による火力機動力の向上とデータリンクによる高度な協同交戦能力を40㌧という重量に収めることが実現した戦車です。
富士学校祭では、観閲行進に続き訓練展示模擬戦の実施直前に二両の富士学校機甲科部所属の10式戦車が登場して、会場において機動力を展示しました。10式戦車の印象は、とにかく、こんな高速性能を発揮できる戦車があっただろうか、という新鮮な驚きです。90式戦車の機動力にも驚かされますが、しかし10式戦車の機動力はそれ以上で、しかも懸架装置の技術によるものか速度に対して振動や動揺が見えません。水上を高速艇が進むような滑走と共に鋭利な刃物のような切り返しの旋回動作、急停止と瞬時の加速。この走行性能を垣間見ただけでも、手荒い新型戦車を完成させたものだ、という新鮮な驚きです。
90式戦車に続く念願の国産新戦車は戦後日本が61式戦車以来培われてきた戦車技術と、日本に必要な戦車とは何か、という事を富士学校や機甲科全ての部隊が極限にまで追求研究した結果誕生した戦車で、地形上戦車の運用に制約が加わる日本の国土を防衛するうえで、各国の重量級の戦車に対して、行動が制約される状況を見越して軽量な車体を活かして翻弄し、一方的に打撃を加えて制圧する能力を付与することが最も必要と考えられ、その上で既存の第三世代戦車を打撃力機動力で上回り同等以上の防御力を付与させるという目標を達成するべく開発されました。
現行の74式戦車は平成20年代に全てが用途廃止される見通しです。この74式戦車を置き換えるのが10式戦車ですが、印象こそ流線形の砲塔や懸架装置への注力など74式戦車が求めた日本の国土において最高の能力発揮を望む設計を継承しつつ、目標とされた打撃力や防御力も世界的に見て高いものがあるとともに、今回展示された機動力は、74式戦車は勿論、現代の各国戦車と比べても世代差というものを感じさせるものでした。この新戦車である10式戦車が早い時期に全国の戦車大隊に配備され、次世代の陸上防衛を担う地位を固めることを期待したいです。
HARUNA
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