■二〇一四より三菱重工が開発
共通車両、89式装甲戦闘車等の砲塔を継承する新型装甲車の設計が2014年から進んでいるようですが、この車輛の評価試験が本格化しているようです。
東富士演習場にて陸上自衛隊装備実験隊の新型装甲車両が目撃され始めています。富士総合火力演習でのタクシー乗り場付近から撮影されたものと思われる写真、車体部分については、89式装甲戦闘車試作車を流用したのではないかと思われる点もあるのですが、自衛隊が装軌式装甲車に関してまだ維持の方針を示している証左ともいえまして、朗報です。
装備実験隊の新型装甲車両、うわさは聞いていたのですが実物が製造され動いているというお話は、今年に入りましてこちらへの書き込みで知りました次第です。Webではかなり話題になっていたようなのですが、勉強不足と云いますか年末年始の多忙があり、そんな中で新年写真を撮影している最中に装備実験隊の新型装甲車両が目撃されていたのですね。
装備実験隊の新型装甲車両。いつもお世話になっているこの分野に詳しい方に、凄いなあ、と聞きますと、返ってきたのは恐らく撮影していますよ、というお話でした。疑問符とともに調べてみますと、確かにあった。2019年富士学校創設記念富士駐屯地祭にて式典会場に隣接する装備実験隊地区、立ち入り禁止地区の一番手前にカバーと共に並んでいるのですね。
富士のあの車輌だったのかな。さて89式装甲戦闘車。35mm機関砲と79式対舟艇対戦車誘導弾を搭載し戦闘重量26tと比較的強力な防御力を有し、90式戦車に随伴可能という機動力を有していました。しかし生産数が限られ、製造された車両も老朽化が進んでおり、延命改修を行うか新型車両を導入するのか、予算不足の陸上自衛隊に在って自然消滅を避けるべく議論が必要な時機でした。
装備実験隊の新型車両、89式装甲戦闘車の特色であった車体側面のガンポートが装甲に覆われ、乗車戦闘よりも機動打撃力を重視した設計となっていました。89式装甲戦闘車は乗車戦闘を意識し、普通科隊員が車内から車体周辺を射撃できるよう銃眼が設置されています。乗車戦闘、1970年代に各戦争を想定し下車せず戦闘を行うために必須となっています。
装備実験隊の新型装甲車両は、銃眼が装甲でおおわれているのですが、この銃眼はまず揺れる車内からはほぼ命中精度が期待できず、更に重機関銃の大口径銃弾が命中した際には破砕され貫徹する恐れがあるとして防御脆弱部分という指摘があり、世界の装甲戦闘車では一部を除き銃眼が増加装甲により覆われています。日本もこの流れに沿うのでしょう。
不思議なのは装備実験隊の新型装甲車両、最近の自衛隊車両が例えば16式機動戦闘車が前照灯をLED方式としているのに対し、新型車両は従来型のハロゲン灯を採用しており、89式装甲戦闘車の試作車を用いた概念実証車ではないかとも考えたのですが。しかし新型装備でもAAV-7等はハロゲン灯を採用しており、この点は判断を保留したいところです。
共通車両の試作は2014年に三菱重工がシステム設計を二年間で3億円にて受注し、共通車体は2016年から二年間で14億円にて受注、装甲戦闘車の砲塔再利用に関する技術開発は日本製鋼所と三菱重工が2016年から2018年にかけ、3億円で受注しています。世界各国装甲戦闘車開発と比較し破格の安さですが、優秀な既存車体設計が応用出来た為でしょう。
近接戦闘車、2000年代に陸上自衛隊は89式装甲戦闘車と87式偵察警戒車の共通後継車両を模索していました。この車両は装輪式として89式装甲戦闘車と同程度の防御力を有しつつ、当時の技術研究本部が開発を進めていた50mmCTA機関砲を小型化した40mmCTA機関砲を搭載、装甲戦闘車型を基本としつつ偵察警戒車型なども開発が想定されていました。
近接戦闘車偵察警戒車型には車体後部に伸縮式電子光学装置を搭載した伸縮式マストを搭載、重ねて斥候員区画を兼ねる方式で車体の共通化が見込まれていました。ただ、2009年に近接戦闘車の部分試作が実施されて以降は全体試作に進まず、計画は中止されています。近接戦闘車、次の将来装輪戦闘車両という装備体系へ統合されるとも考えられていました。
この将来装輪戦闘車両は人員輸送に指揮通信と対戦車車両に偵察警戒車と装甲戦闘車に自走迫撃砲と自走高射機関砲、補給支援車両までを含み、車体部分のパワーパックは装輪自走榴弾砲や多連装ロケットシステムに地雷原処理車を共通化する、野心的な車両でした。ただ、自走高射機関砲試験車両は試験映像が防衛装備庁により公開されたもののそこまで。
自走高射機関砲試験車両は試験車両であるからか非常に高い車高が話題になりつつ、その後の動きはなく、特に自走高射機関砲は35mm高射機関砲から93式近距離地対空誘導弾へ転換した際に、機関砲システムに関する整備負担の大きさなどが現場から指摘され、思い切った全国配備に移行できなかったことが、装備化への影響と見て取ることも出来ます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
共通車両、89式装甲戦闘車等の砲塔を継承する新型装甲車の設計が2014年から進んでいるようですが、この車輛の評価試験が本格化しているようです。
東富士演習場にて陸上自衛隊装備実験隊の新型装甲車両が目撃され始めています。富士総合火力演習でのタクシー乗り場付近から撮影されたものと思われる写真、車体部分については、89式装甲戦闘車試作車を流用したのではないかと思われる点もあるのですが、自衛隊が装軌式装甲車に関してまだ維持の方針を示している証左ともいえまして、朗報です。
装備実験隊の新型装甲車両、うわさは聞いていたのですが実物が製造され動いているというお話は、今年に入りましてこちらへの書き込みで知りました次第です。Webではかなり話題になっていたようなのですが、勉強不足と云いますか年末年始の多忙があり、そんな中で新年写真を撮影している最中に装備実験隊の新型装甲車両が目撃されていたのですね。
装備実験隊の新型装甲車両。いつもお世話になっているこの分野に詳しい方に、凄いなあ、と聞きますと、返ってきたのは恐らく撮影していますよ、というお話でした。疑問符とともに調べてみますと、確かにあった。2019年富士学校創設記念富士駐屯地祭にて式典会場に隣接する装備実験隊地区、立ち入り禁止地区の一番手前にカバーと共に並んでいるのですね。
富士のあの車輌だったのかな。さて89式装甲戦闘車。35mm機関砲と79式対舟艇対戦車誘導弾を搭載し戦闘重量26tと比較的強力な防御力を有し、90式戦車に随伴可能という機動力を有していました。しかし生産数が限られ、製造された車両も老朽化が進んでおり、延命改修を行うか新型車両を導入するのか、予算不足の陸上自衛隊に在って自然消滅を避けるべく議論が必要な時機でした。
装備実験隊の新型車両、89式装甲戦闘車の特色であった車体側面のガンポートが装甲に覆われ、乗車戦闘よりも機動打撃力を重視した設計となっていました。89式装甲戦闘車は乗車戦闘を意識し、普通科隊員が車内から車体周辺を射撃できるよう銃眼が設置されています。乗車戦闘、1970年代に各戦争を想定し下車せず戦闘を行うために必須となっています。
装備実験隊の新型装甲車両は、銃眼が装甲でおおわれているのですが、この銃眼はまず揺れる車内からはほぼ命中精度が期待できず、更に重機関銃の大口径銃弾が命中した際には破砕され貫徹する恐れがあるとして防御脆弱部分という指摘があり、世界の装甲戦闘車では一部を除き銃眼が増加装甲により覆われています。日本もこの流れに沿うのでしょう。
不思議なのは装備実験隊の新型装甲車両、最近の自衛隊車両が例えば16式機動戦闘車が前照灯をLED方式としているのに対し、新型車両は従来型のハロゲン灯を採用しており、89式装甲戦闘車の試作車を用いた概念実証車ではないかとも考えたのですが。しかし新型装備でもAAV-7等はハロゲン灯を採用しており、この点は判断を保留したいところです。
共通車両の試作は2014年に三菱重工がシステム設計を二年間で3億円にて受注し、共通車体は2016年から二年間で14億円にて受注、装甲戦闘車の砲塔再利用に関する技術開発は日本製鋼所と三菱重工が2016年から2018年にかけ、3億円で受注しています。世界各国装甲戦闘車開発と比較し破格の安さですが、優秀な既存車体設計が応用出来た為でしょう。
近接戦闘車、2000年代に陸上自衛隊は89式装甲戦闘車と87式偵察警戒車の共通後継車両を模索していました。この車両は装輪式として89式装甲戦闘車と同程度の防御力を有しつつ、当時の技術研究本部が開発を進めていた50mmCTA機関砲を小型化した40mmCTA機関砲を搭載、装甲戦闘車型を基本としつつ偵察警戒車型なども開発が想定されていました。
近接戦闘車偵察警戒車型には車体後部に伸縮式電子光学装置を搭載した伸縮式マストを搭載、重ねて斥候員区画を兼ねる方式で車体の共通化が見込まれていました。ただ、2009年に近接戦闘車の部分試作が実施されて以降は全体試作に進まず、計画は中止されています。近接戦闘車、次の将来装輪戦闘車両という装備体系へ統合されるとも考えられていました。
この将来装輪戦闘車両は人員輸送に指揮通信と対戦車車両に偵察警戒車と装甲戦闘車に自走迫撃砲と自走高射機関砲、補給支援車両までを含み、車体部分のパワーパックは装輪自走榴弾砲や多連装ロケットシステムに地雷原処理車を共通化する、野心的な車両でした。ただ、自走高射機関砲試験車両は試験映像が防衛装備庁により公開されたもののそこまで。
自走高射機関砲試験車両は試験車両であるからか非常に高い車高が話題になりつつ、その後の動きはなく、特に自走高射機関砲は35mm高射機関砲から93式近距離地対空誘導弾へ転換した際に、機関砲システムに関する整備負担の大きさなどが現場から指摘され、思い切った全国配備に移行できなかったことが、装備化への影響と見て取ることも出来ます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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車体の一段上の段(全部エンジンの後ろの一段高い兵員輸送部分)の真ん中に固定の車内機関銃座が鎮座してますよね。
諸外国ではもう中々見られないが、60式・73式装甲車と続く伝統なのでしょうかね~
でも安価で隊員が露出することが無く、弾丸の補給も遠隔機銃と違って車内で行えるから案外いいかもしれませんね!
機銃が故障しても内部から抜いて直せるのかな?
まあ正面の敵にしか相手はできませんがね。
他の角度の敵は車体上面の重機関銃を取りまわして対処か上部ハッチを開けて銃撃か車体を旋回させて前部の74式車載7.62mm機関銃で射撃ですかね。
射角30数度程度でしょうかね?
装備されたなら陸自らしい装備になるでしょうね。