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【京都幕間旅情】晴明神社,陰陽道(中務省陰陽寮)は平安朝から明治初期設置の現文部科学省

2020-04-01 20:07:11 | 写真
■安倍晴明は平安の名物官僚
 安倍晴明といいますと映画陰陽師が先日ドラマで続編が放映、いろいろと創作が有名ですが、分りやすく表現しますと今でいう名物官僚、上に愛され広く慕われた官僚さんです。

 晴明神社、陰陽道に長けた安倍晴明を祀る社殿が並び、堀川通りに面し、一条戻橋のたもとの神社です。一条戻橋北西ににあった安倍晴明屋敷跡に一条天皇の働きかけで建立された神社で創建は安倍晴明没後二年、1007年と千年以上もの長い歴史を有する神社です。

 社殿が美しく保たれていますが、この整備の時期が安倍晴明を題材とした夢枕獏氏の小説が映画化された時期と重なり、夢枕獏氏の世界観を共有する同好の士には一種の聖地となりましたが、実のところ新しい神社ではないかと解された方も多いようですが非常に古い。

 安倍晴明、この名は昨今創作世界の方が有名となりました、京都を怨霊の襲来から魔法のような法術を使い護る魔法戦士のような作品もあれば、異世界に飛ばされ織田信長や那須与一と島津豊久と共に敵対する明智光秀やジャンヌダルク軍団相手に戦ったりしている。

 五芒星の晴明紋を冠する一の鳥居と共に、清明神社は奥の本殿へと続きます。陰陽師の霊力がご利益ご加護を伝えるとの晴明井は、立春の神事で恵方に取水口を廻らし、この水を茶の湯としてかの千利休が豊臣秀吉に茶をたてたといいまして、長い歴史が見えましょう。

 藤原道長や一条天皇と同じ時代の人物である安倍晴明は、諸説ありますが、竹取物語に画かれた実在人物である右大臣阿倍御主人の系譜に在り延喜年間の920年頃に摂津国阿倍野に生まれ青年時代を桜井市安倍で過ごしたといわれ、40歳で陰陽寮天文得業生となります。

 陰陽道といえば空も飛べて分身の術や時間跳躍と長距離熱線攻撃からお札一枚で英会話完璧、という印象が創作世界では得られるような印象が先行してしまいましたが、実在する列記とした朝廷律令制八省の一つ、中務省隷下の陰陽寮に所属する中世日本の官庁の一つ。

 中務省陰陽寮とは、天文観測、暦の編纂、水時計管理時報実施、気象観測、等を行います。文部科学省の科学研究部門やかつての科学技術庁と気象庁の役割を平安時代に担っていた、といえるかもしれません。もっとも平安時代に天気予報や義務教育はありませんが、ね。

 陰陽頭を頂点に気象観測や天体観測情報を包括、陰陽助として補佐官業務若干名、陰陽允として事務業務全般を担う数名、陰陽大属として記録業務全般を担う数名、陰陽師として主観業務専門官が6名、天文博士、暦博士、漏刻博士、最盛期で150名規模の役所でした。

 陰陽師は中務省陰陽寮の専門職員という位置づけですが、天文観測、暦の編纂、水時計管理時報実施、気象観測、共に何が起きているかの観測は当時の技術に限界があると共に、事象を確認すると共に対応策は朝廷への占術と祈祷を持っての助言に留められていました。

 稲荷神の生まれ変わりが安倍晴明であったのではないか、神社創建と大きく進められた背景にはこうした考えがあり、創建当時は広い晴明邸宅跡を神域としましたが、その広さは堀川通と黒門通に元誓願寺通と中立売通に面する広大な境内を有する神社となったという。

 創建から数百年を経て、京都は応仁の乱はじめ数多の出来事により大きく変容し、その神域も非常に限られたものとなりました。しかし、幕末時代に再整備が行われ、現在の堀川通りに至る神域を回復するに至りました。2005年には安倍晴明千年祭も行われました。

 土御門家がこの神社の整備に尽力した事で知られ、陰陽師名門である土御門家も遡れば安倍晴明に至る所縁があります。そして晴明が属した中務省陰陽寮は天文観測から地学までを司る機構として明治初期まで残り、1871年の文部省設置により発展的に解消しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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