Detmar Cramerはドイツ人のサッカーのコーチである。東京オリンピックの前に日本のサッカーの強化を依頼されて、ドイツから日本へとやって来た。35歳のときだという。
東京オリンピックでは南米の強豪チームのアルゼンチンを3-2で破るという業績をあげた。その次のメキシコのオリンピック大会ではDetmar Cramerが指揮はしていなかったが、日本は銅メダルを獲得した。私のようにスポーツに暗いものでも、そのときのエースストライカーの釜本の名は覚えている。
昨夜のEテレのドイツ語講座ではこのDetmar Cramerのことを取り上げていた。曰くWegbereiterだという。これをいま辞書で引いてみると草分け、先達とある。Bereiterは調教師との訳がある。bereitenは調整するとか、支度するという訳がある。Sind Sie bereit ?というと「準備ができたか」という意味だと思うので、bereitenの意味が推測できようか。
ところで、もう名前は忘れてしまっていたのだが、釜本と並んで杉山という優れたプレーヤーもいた。彼らの切磋琢磨でメキシコのオリンピックでの銅メダルがあった。そういう切磋琢磨をCramerは
Durch Reibung entsteht aber auch Energie. (摩擦によってエネルギーが生まれる)と言ったという。
この文章は印象的であるが、ドイツ語の特徴をよく表している。というのはこの文の主語は文の一番最後のEnergieであり、動詞はentstehtは文の2番目の位置に来ている。
ところで、スペイン語でメキシコはメヒコと発音され、またアルゼンチンはアルヘンチーナと発音される。昔、ドイツのフライブルクで出会ったあるアルゼンチン人にアルヘンチーナの出身だったのですかとドイツ語で言ったら、お前はスペイン語を話すのかと聞かれたが、もちろんただこの発音を知っていただけのことにすぎない。ちなみに言うと日本でも有名なペルーの藤森元大統領はフジモリではなくて、スペイン語ではフヘモリである。
このアルゼンチン人はたまたまこのとき脚を骨折していて、Sie m''ussen zum Arzt gehen(医者に行かなければなりませんね)と私がいうとIch bin selber Arzt (私自身が医者なんです)という受け答えがあったことを覚えている。