物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

半角公式

2011-08-16 13:30:50 | インポート

S. ラングの「解析入門」(岩波書店)のp.268の上の方に三角関数の半角公式が与えられている。そのすぐ下に

cos^{2}  x-sin^{2} x=cos 2x   (1)

cos^{2} x+sin^{2} x=1                 (2)

の式が書かれている。これを見てラングが、私の知っている三角関数の半角公式と同じ導き方をしていることがわかった。

ラングの本ではもちろん上の2つの式(1), (2)を上下に並べて書いてはいないが、そのつもりであろう。

どうやって半角公式を導くか。

(1)と(2)を辺々足せば、2cos^{2} x=1+cos 2xが直ちに得られる。また、(2)から(1)を辺々引けば、2sin^{2} x=1-cso 2xが得られる。

これはそのままで半角公式であるといってもいいが、見かけ上もきちんとした半角公式にするにはxをx/2と置き換えてやればすむ。もちろん、最後に両辺を2で割る必要がある。

私はこの導き方を自分で見つけたわけではない。藤森良夫先生の続「解析の基礎」続(考え方社)で読んで知ったのはもう50数年前の高校生のころである。

もっともこういう風な導き方をexplicitに書いた本を藤森先生以外の本で見たことはない。(もちろん頭の中では明らかにこういう演算がされてはいるのだろうが)。

それで、1999年から3年にわたって、私が個人として発行した「電気電子工学科ミニマム」(愛媛大学)にはこの導き方を書いておいたが、誰もそのことに気がつかなかったかもしれない。

ラングの本は分かりやすい本と定評のある本であるが、藤森先生の半角の公式と同じ導き方にこの本で出会って懐かしかった。


原爆に会わなかった人々2

2011-08-16 10:41:03 | 日記・エッセイ・コラム

昨日のK夫人は私も面識のある方だが、今日ご紹介するN氏は面識がある方ではない。N夫人はまだ存命なので面識があるが、ご主人の方は私ども夫婦が知り合いになる前に亡くなられていた。

このN氏は戦争中に医者になるために長崎医学専門学校で学んでいた。ところが継母さんからいじめを受けてもうそこで医者の勉強をするなら、送金はしないと言われて、泣く泣く郷里に帰り、師範学校に入って、戦後中学校の数学の先生になった。もし医学専門学校で勉学を続けていれば、おそらくは原爆を被爆したであろう。

継母さんの意地悪はこのN氏の命を救ったという数奇な運命を辿ったわけである。彼は愛媛県の佐田岬といわれる全長が50kmにも及ぶ(多分日本一長い)半島の真ん中、または、むしろそれよりも九州に近いところの出身である。N氏のお父さんも医師だったそうだから、頭もよかったのであろう。

しかし、継母のいじめにあって、泣く泣く医学の勉学を断念したのだが、それが彼が長崎での原爆にあうことを避けられたことになったのは何が幸いするかわからない。

三崎の中学校等南予に勤められたと思うので、愛媛県の人で彼の教え子はかなりいるであろう。

いまではこの佐田岬の途中の伊方町には四国電力の伊方原子力発電所ができて、そのためにこの佐田岬には立派なドライブウエイが走っている。それで、いまではこの半島は昔のように文明の果てる所といった感はない。しかし、私がまだ中学生か高校生の頃にはこの半島は細い道をくねくねと辿るか、または、船で半島の途中の町村へ行くという風だったらしい。

佐田岬に関係のある、有名人物にこの半島出身の坪内稔典さんとか、青色LED発明者の中村修二氏がいる。もっとも中村修二氏のご兄弟は松山在住だし、「ねんてん」さんと親しみをもって呼ばれているらしい、坪内氏は有名な俳人である。「ねんてん」さんは本当は「としのり」と読むのが正しい。「ねん」のため。