インターネットの四元数についての記述をプリントしては読んでいる。これはある目的をもっているからだが、そのときに感じるのはある種のいらだたしさである。
いま四元数はコンピュータグラフィック(CG)や自動制御の工場とかで工作物の回転を記述するのに役立つ手法である。ところが剛体や3次元の図形の回転を記述する四元数での表現の仕方はどこにも書いてあるが、それを発見法的に説明したものにまだ出会っていない。
かなり以前から私自身も気にして調べてはいるのだが、この四元数の表現をどのように発見法的に導出するかはまだわかっていない。結果を認めて簡単な例で示したものはあるし、剛体の回転の表現は四元数によるもの以外にベクトルによるもの、マトリックスによるもの等があるので、これらと同等になるということを示したものはある。
だが、それをどのようにして見つけたかということを書いたものをまだ見たことがないということにある種のいらだたしさを感じてしまう。これはある出版社から「四元数」についての本を書かないかといわれて久しいのにその要望に応えられていないためでもある。
これは他人に対するいらだたしさでもあるが、根源的には自分自身に対するいらだたしさである。