今朝新聞を見ていたら、、真空管の耐用時間は約1000時間だったという。
それで真空管を約1000本用いたコンピュータはしきりに故障を起こして、演算をしているよりも休止して真空管を付け替えている時間の方が多かった。したがって世界最初のコンピュータeniacは常に故障がちであったらしい。
いまなら、使い物にならないといってすぐに廃棄処分されるところであろう。それでもこのeniacでFermiやUlamがエルゴード問題を数値的に解こうとしたとか聞いている。
エルゴード問題がどういう問題なのかよくは知らないが、相空間で一度通った場所には二度と時間経過をしても通らないという風のことかと勝手に解釈している。どなたか専門家の方教えてください。
その論文は、Fermiの論文集の中には載っていたと思うが、そういう論文があるということを知っているだけで自分で読んだりしたことはまったくない。
いまでいう、数値実験のはしりの試みであったと思う。いまでこそシミュレーションは有力な研究の手段の一つになっているが、そのころはとても手間と暇のかかることであって、誰でも簡単にやれることではなかったろう。そしてそのような手間と時間をかけた数値実験が数値計算をも得意とした物理学者Fermiとか数学者Neumannとかが行ったというのはまた不思議な気がする。
その真空管が半導体の素子トランジスターに変って約1000時間の耐用時間数が無限に伸びたのだという。現実にはもちろん現在のパソコンでも無限の耐用年数があるということはないが、直ぐに故障してどこの真空管が切れたかを調べて交換する代わりに半導体では、いわば、無限の耐用年数であるかのごとく人間は振舞うことができるようになった。
第2次大戦後の世界の進歩はまさに固体エレクトロニクスと共にあった。そういう世界観を教えてくれた今日の新聞記事であった。