最近、ニュートリノが真空中の光速よりも速いのではないかという実験結果が出たので、世間の一般人にもニュートリノに関心が寄せられている。
ニュートリノは3世代(たとえば、人間で言えば祖母、母、娘)だというので、先日元牧師のOさんから、-trinoは3を意味するのかと聞かれた。ニュートリノは英語ではneutrinoと書くので、-trinoは3を意味する前綴りのtri-とこの方は思われたらしい。
詳しいいきさつは私は知らないが、ニュートリノという名は、別に3種類のニュートリノがあるということなど想像もできなかったころにつけられた名前である。
このニュートリノという電気的に中性の粒子を始めに考えたのは、パウリ(Pauli)だと言われており、それは原子核のベータ崩壊で出てくるベータ線(電子)のエネルギーが一定でないために原子核に関した現象ではエネルギーの保存がされないのではないかといわれていたが、その困難を救うという意図から考えられた。
その当時の原子物理学の権威ボーアですら、ベータ崩壊ではエネルギー保存が統計的にしか成り立たないのではないかと主張していたころである。
それを未知の中性粒子ニュートリノがそのベータ崩壊のときのエネルギーを一部を持ち去るとすれば、エネルギーが保存則が成立していると考えた。
その後、フェルミ(Fermi)が自分のベータ崩壊の理論で、ベータ崩壊では中性子からニュートリノと電子が同時に放出されるとした。このときは電子と一緒に放出されるニュートリノであるから、今では電子ニュートリノといわれている。
その後、ミュオンと呼ばれる電子によく似た性質をもつが、電子の約200倍の質量の粒子に付随したミュオンニュートリノがあることが発見された。
その後、タウ粒子が発見されて、それに付随したタウニュートリノが考えられている。物理では「ニュートリノは3世代」という言い方をする。クォークなども3世代なので、3世代であるのはニュートリノだけではないが、ともかくニュートリノには3種類があるということがわかって頂ければ良い。
物理では電子と電子ニュートリノが双子だとされている。同様にミュオンとミュオンニュトリノ、タウとタウニュートリノとがそれぞれ双子(doublet)とされている。
話が思わぬ方向にずれたが、ニュートリノは中性子(neutron)(これは陽子の姉妹)の発見後に考えられた質量が微小の電気的に中性の粒子であり、イタリア語の微小を意味する-inoを語尾につけて、neutrinoと呼ばれるようになった。
これで思い出すのは小さなミカンのことをイタリア語ではmandarinoと言うことである。マンダリンはミカンの一種である。