「毛色のちがった道具」というのはあの有名なファインマンの自伝『御冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店)の中の一つの章のタイトルである。
このはじめの部分を引用して、私も以前にエッセイを書いたことがある。被積分関数の中のパラメータで微分をすることによって、積分をするという話がその章に出ていたのだが、その方法を説明する私のエッセイの冒頭部で引用した。
先日子どもが正月に帰郷をしていたときに、彼が言っていたのはなぜ十数年前に「粒子フィルター」というテーマに関心をもったのかと友人に聞かれたのだが、これはまさにこのファインマンのいう毛色の違った道具のつもりであった。
ところが、最近では「粒子フィルター」は学部の学生でも知るような概念になってしまったので、なにかあまり知られていない、概念とか分野を探したいということらしかった。
もっとも私はこの「粒子フィルター」という概念さえも知らないので、何をかいわんやであろう。