ドイツで日本の「たわしと黒板消し」の代わりに使っているものは何だ?
というクイズを出されたらあなたなら、何と答えるだろうか。答えは「スポンジ」である。答えを聞くとなあんだであるが。
ドイツ人のR氏はもう在日30年に及ぶが、いつだったか私が「たわし」と言ったら、それがどのようなものか即座には理解できなかった。しばらくおいてSwamm?と言った。
だから、日本のたわしがどんなものかをよくは知らなかったのだとは思うが、それがドイツで使っている「スポンジ、海綿」と同じ用途に使われるのだと覚っていたのであろう。
日本の学校で現在も黒板消しが使われているかどうかは知らないが、少なくとも私が学校に通ったころはチョークと黒板消しは普通の学校の教室の常備品であった。
このごろは黒板を消した後のチョークの粉を吸い取る、クリーナーがここ何十年か使われてきた。もっとも最近はホワイトボードにマジックペンに似たフェルトペンで字を書くことも多い。
これだと少なくともチョークの粉を先生が吸い込むということがなくなる。しかし、私が30年数年前にフライブルクのゲーテインステュートでドイツ語を学んだころは先生はまだチョークを使っていた。
ただ、その字を消すのは日本風の黒板消しではなく、水を含ませたスポンジであった。技術は進歩しているので、日本だけではなくドイツでも事情は変わっているであろうから、現在の状況を知ることはできない。
電子黒板というものが小学校でも普及していると聞くが、その実物にまだ出会ったことはない。
学会の発表でも現在はパワーポイントが主流であろう。講演者は小さなUSBメモリーをもっていき、それをパソコンに挿して画面をプロジェクターで写すことで講演をすることができるようになった。
その前は透明なトランスペアランシー(注)にプリンターで字とか図をプリントして行き、それをOHPに載せてスクリーンに映して講演をしたものだ。そういうことをする人はまったく見かけなくなった。
時代は変わるものである。
(注) トランスペアランシーそのものがもともと「透明なもの」という意味であろう。