英語で理由を述べるときにbecauseという言葉を使うのはよく知られている。
ところで大学院で私の英語を先生から直してもらったときに理由を示す語として、sinceという語を知った。そしてそれを結構多用してきたのだが、このsinceには時間的な意味が含まれるという。
もし、理由を示す場合でもsinceにはこの時間的なニューアンスが含まれるという。
これは最近購入したグレン・パケットの『科学論文の英語用法百科』(京都大学学術刊行会)のsinceのはじめのところにある説明である。
そういうことを知らないでsinceを多用してきたようである。最近英語を見ることを頼まれた英語論文でも勝手にbecauseをsinceに書き換えたところがあるが、再度点検をする必要があろうか。
さて、上記の本を購入して昨夜ちょっと眺めたところでは、誤用の例として挙げられたものは確かに読んで違和感を感じるものが多かった。もっともどう修正したらいいのかは修正例をみるまではわからないが。
受験英語から英語の本、それは私の場合はSchiffの量子力学の本だった、を読めるようになる。それが受験英語からの一段上の英語力であったかもしれない。それから英語で論文らしいものを書くようになり、そこで不十分ながら自分で英語が書けるようになった。
それは英語が読めるようになることのさらに一段上の英語力であろうか。だが、私の場合は英語を聞いてそれを理解するという力は残念ながらついていない。全く分からないとまでは言わないが、確かに不十分であろう。それもはるかに不十分である。
世の中では国際会議にでかけて不自由なく英語を話せる人も特に最近では若い人を中心にして多くなっている。そこまではいかなかった。
いつだったか、京都であった宇宙線の国際会議に出たときに、ある有名なF先生の英語が短文をandとbutで結んだえらく簡単な文章であったことに驚いた。ところが驚いたことに彼が話しているうちにみるみる彼の話す英語が洗練されたものになって行ったことにさらに驚いた。
そして話の後での議論では質問をきちんと聞き取って受け答えがされていることを知ってさらに驚いた。
彼はイギリスの有名な物理学者のPowelのところへ数年留学をしていたのだから当然ともいえる。英語を話す機会がそれほどもてないために国際会議での英語ははじめたどたどしく思えたのだが、英語を話している中にだんだんと調子を取り戻したことは明らかだった。
そのとき私は英語はやはり聞く力が大切なのだと思った。確かに英語を話す方はこのF先生の方式でもいいが、聞く力は一朝一夕にはつかない。