先日、憲法9条の英訳の中にあった、belligerencyという語について触れたが、9条ということで大切なのは「戦争の放棄」ということである。
いままで「放棄する」という日本語を英語でどう言うかについて考えたことがなかった。
それで「放棄する」と英語でどういうのだろうと思い出した。例によって朝食後の妻との会話だったので、妻がすぐにスマホで「放棄する」の英語を調べてくれた。
それによると前後関係にもよるのだが、日本語で放棄するという意味で使われている語がたくさんあることがわかった。
たとえば、「(所有物を)放棄する」という意味ではrelinguish, 「(権利を)放棄する」という意味ではwaive, 「・・を放棄する」という意味ではjettison, 単に「放棄する」というときにはabdicate, desert, disclaim, forsake, renounceとある。
条文の英訳には「戦争を放棄する」というときにはrenounce warとあった。
私が「放棄する」に対応する英語として思い出したのはdiscardとabandonであったが、discardは「(カードを)捨てる」という意味だと辞書にあった。
そういえば、cardという語が含まれている。もちろん、「(不要なものを)廃棄する」という訳もついてはいる。
ちなみに憲法9条のドイツ語訳も妻が見つけてくれたが、それには
das japanische Volk verzichtet fuer alle Zeiten auf Krieg als ein souveraenes Recht der Nation
(一部の語を省略し、かつ語順を変更した)とあった。放棄するという語にあたるのはverzichtenであるが、私の覚えている日本語の意味としては「断念する」という意味であった。
独和辞書には放棄するという意味も出ていたが、auf ein Recht verzichtenで「権利を放棄する」という訳語がついていた。
このverzichtenという語はまったく思い起こすことができず、abschaffenという語くらいしか思い出さなかった。abschaffenを独和辞書を引いてみると「(法律・制度などを)廃止する」とあった。
英語とかドイツ語の私の知識の貧弱さを図らずも露呈してしまう結果となった。