NHKのラジオフランス語講座でフランス革命はまったく違った二義的な意味を持つという説明のときにフランス語のambigueを「両義的な」と井上桜子さんが訳されていたので、ambigueは「曖昧な」という意味だと頭から思っていたのが、目から鱗が落ちた。
すなわち、多分二つの意味をもつというのが元の意味だったのだろうと思い当たった。
英語のambiguousだとかambiguityの「あいまいさ」とか「あいまいな」という訳語は元は二つの意味にとれるというところから来たのだろう。
そういえば、私はラテン語とかギリシャ語を学んだことがないが、biというのは2つという意味を含んでいるだろう。
そう思って『岩波英和大辞典』を引いてみたら、ambiというのは「まわりに」とか「両側に」とかを意味するラテン語らしい(注)。
いつだったかこれはドイツ人の会話に出てきたambivalentという語もあまり聞きなれない言葉だったので、後で辞書を引いてみたことがあった。
名詞のambivalenceを英語辞書で引いてみると、「両面価値」とある。「一つの対象に愛情と憎しみとをもつといったような」というような説明が付加されてある。
長い間私はambiguityを単に「あいまいな」という意味にしかとらえていなかった。なんて浅薄な理解しかして来なかったのだろう。
(注)『岩波英和大辞典』はずっと多分70年代のはじめの発行で、もってはいたが、あまり役に立つという印象がなかった。
語源とかの観点から見たときにこの辞典はなかなか優れた辞書であるという評価をようやく最近にするようになった。