物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

新聞社の襲撃

2015-01-09 12:38:29 | 日記
日本でも新聞社の襲撃の例がないではないが、これほどひどい事件はない。

それはフランスの週刊新聞社を過激派が襲って12人の人を殺害したテロ事件である。シャーリ・エブド(Charlie hebdo)という新聞社をイスラム系の過激派の3人の若者が襲った。

18歳の少年はすでに出頭して身柄が拘束されたということであるが、主犯の二人の兄弟は逃走中らしい。ということで昨夜のドイツ語のクラスでもR氏がそれについての反応のいくつかを紹介してくれた。

イスラム系の過激派の起こした事件であり、凶悪な犯罪だが、これはもちろんイスラム教を信仰している人全体が暴力的だということではない。それを間違えてはいけないという声明は多くの欧米の政治家とかリーダーから出されているのは当然であろう。 

今朝の新聞ではこの事件の直接のきっかけになったかどうかは知らないが、1月7日付のこの新聞社の風刺画が出ていた。その風刺画の説明もあった。

イスラム系の銃を背負った過激派らしき男が

「フランスではテロが起きていない(Toujours pas d'attentats en France)」、「だが(Attendez!)」(著者が訳を付加)「1月末までまだ時間がある(On a jusqu'a la fin janvier pour presenter ses voeux)」

この訳ではpour presenter ses vouexがキチンと訳されていないが、vouは誓いとか願望であり、語尾の-xは複数を表す。presenterは示すと訳してもいいだろう。

それにしてもおぞましい犯罪である。

風刺をお得意とする、この手の新聞社としてフランスではLe canard enchain'e(鎖につながれたアヒル:ル カナール アンシェネ)が有名だという。

ところで、風刺はヨーロッパではすでに文化の伝統として根付いているという。日本でもそのような例が過去になかったわけではない。「滑稽新聞」を創刊した宮武外骨はそういう筋金入りの政治家や権力を風刺した新聞を発行し続けたことで知られている。

このことは知っていたが、外骨は入獄が4回というから相当なものである。現在の日本ではそういう前例と伝統がどこかかに忘れられているのは実に残念である。

政治権力は市民の監視があっても容易に腐敗する。だが、権力はなんとか口実を設けてはそういう風刺や批判を封じようとする。その一端が日本では国家秘密保護法である。