「光速度不変の原理とはなにか説明せよ」とあるときに試験問題に出したら、いかなるときにも光の速さは変わらないことだとの解答が続出したことがある。講義の中でそういうことを述べた覚えはまったくなかったので、試験問題を出した私の方が当惑した。実はこれは点を取らせるつもりで出した問題だったから、まったく困った。
そういう説明を講義の中でしたことがあったかどうかははっきりとは覚えていないが、水中の光の速さは真空中の光の速さを水の屈折率で割るので、真空中の光の速さを c とすれば、水中の光の速さは c/n となる。水の光の屈折率 n はおよそ1.34くらいなので、これでわり算すれば、真空中の速さの75%くらいな速さになる。
もとに戻ると、光速度不変の原理とはある座標系に対して等速運動をしている、いかなる座標系に対しても光速度は不変、すなわち、いわゆる慣性系においては光の速度は不変であるという意味であった。
その説明を講義で私がしたと思うのだが、学生にはそのことがよく分からなかったということなのであろう。