『複素関数論の基礎』(裳華房)のおかげで少しづつ複素解析がわかってきた。まだ自分の力にはなっていないが、すくなくとも何が何だかわからないというところからは抜け出したと思う。
そういう意味ではこの本の示したところは大きい。もちろん、この本だけでなんでも複素解析について解決とはいかない。だが、私のもっていた混迷からは抜けることができた。アマゾンコムでのこの書の書評での大部分が大いに評価していたのだから当然だともいえるが、演習問題の解答まで含めても200頁もないのだから、その気になれば読むことができるであろう。
複素解析は数学を学ぶ人たちにはまとまっており、あまり難しくないものと思われているらしい。それはそれとしてある意味では正しいのだろう。だが、あまり真剣に複素解析を学んだことがなかったし、私のわかるような本はほとんどなかった。
そういえば、昔好んで読んだソーヤーの数学啓蒙書『数学へのプレリュード』(みすず書房)の中で高等学校で数学のよくできる人は大学に入る前に複素解析を学んでおくべきだと強くすすめられていたのを思い出す。そして、同じような高校での他校出身の数学の秀才がすでに複素解析を知っているのを知って驚くかもしれないからとあった。
いま『複素関数論の基礎』のp.144まで読み進んできた。この書の本文は170pであるから、多分、本文をまもなく読み終えることができるであろう。
本を読み切ることができるようにこの本が書かれているということであろう。こういう書が出てくるということは大学の数学教育はかなり遅れていると思っていたが、やはり時代とともに教え方が進んでいることを示している。