志村五郎『数学をいかに使うか』(ちくま学芸文庫)の第3章「ベクトル積から外積代数まで」を昨夜読み返した。
微分形式のことを復習するためである。志村さんは大学の基礎数学のコースの中にこの外積代数を入れたいという意向があったようだ(注1)。
一形式、二形式、三形式を学べば、ベクトル解析の主要な目標である、ガウスの定理やストークスの定理をカバーできると思ったためらしい。これらの定理が「微分積分学の基本定理の一般化である」ことがすぐにわかると具体的に説明をしている(注2)。
ストークスの定理の偏微分のどこにマイナスの符号がついていたか、わからなくなるが、微分形式で覚えておけば、その混乱はしなくてすむという風に書いてある。
こういう混乱をするのは私だけが頭がわるいからで、頭のいい人には無縁かと思っていたが、志村さんにこういってもらうとちょっと気が楽になる。
横田一郎『よくわかるベクトル解析』(現代数学社)で外積では結合則が成り立つとあったが、ベクトルのベクトル積では結合則が成り立たないので、この横田さんの書の記述はまちがいではないかと他の書を参照しようとさがしていたが、このことに言及した本をまだ見つけていなかった。
横田さんの書をさらに読み進めると、ベクトルのベクトル積と外積の間には対応はあるが、ちがうために一方で、結合則が成り立たないのに、もう一方で成り立つのはそのためであるとの説明をみつけた。*演算と関係があるらしいが、この*演算がどういうものだったか覚えていない。
数学書は読んでいると、ところどころ疑問に思うところが出てくるところがあるが、後で疑問が解ける場合もある。昨夜も『数学をいかに使うか』を読んでいて、そんなところに出会って、ちょっと戸惑ったがその具体例がその後に出ていた。
(注1)ただし、あまり数学的に厳密なことにはこだわらないという考えだったらしい。数学的に厳密なことを言い出すと大学の基礎数学の枠内には収まらないだろう。
(注2)今回読み直してみて、この言及があることにようやく気がついた。以前にはそういう関心がなかったからしかたがない。「微分積分学の基本定理の一般化である」という主張は微分形式の普及とともにあったということがわかる。
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