20歳前後に図書館で借用して、読んで感銘を受けて、その後それを自分で購入した本に熊谷寛夫『整理された電磁気学』(電気書院)があった。
実は自分で購入したら、その後、関心を失って読まなかったのだが、電磁気学の本の著者としての熊谷さんにずっと関心をもっていたので、そのほかの熊谷さんの電磁気学の本をその後にも数冊購入している。
いまちょっと関心が起きたので、熊谷さんが一生にどんな電磁気学の本を書いたのかを調べてみたので、ここに記録をしておく。
新しいものから書いておく。
1.電磁気学の基礎、実験室における(裳華房、1975)
2.近代電磁気学(電気書院、1968.11)
3.電磁気学演習(朝倉書店、1966.9)
4.電磁気学(朝倉書店、1965.3)
5.電磁気学応用I, II(朝倉書店、I, 1965.9, II, 1966.3)
6.整理された電磁気学(電気書院、1953.10)
7.静電磁気学(山海堂、1948)
以上の8冊であった。もっとも私が所有している熊谷さんの本は1、3、4、6の4冊しかない。
原子核実験が専門であった、熊谷さんがなぜ電磁気学に関心をもったのかは実は粒子加速器をつくるときにやはり電磁気学の概念がしっかりしないと実験がうまくできないということにあった。
加速器技術のような最先端の技術も電磁気学の基礎がしっかりしないと、やはりうまくいかないということを彼の本の序文を読んで知った。
電磁気学の本をいくつか書いた人には砂川重信(注)さんとか太田浩一さんがおられる。それぞれいい電磁気学の本を書いておられるのだが、それにしても熊谷さんほどの数ではないだろう。
(2019.3.11付記) 電磁気学を熊谷さんの本で学んだという人は昔も今もあまりいないだろう。砂川重信さんの本とか太田さんの本とかでというならば、それが普通であろう。私が学生のころには高橋秀俊、電磁気学の本がよく読まれていたのではないかと思う。最近はE, B対応が採用されているので、E, H対応だった高橋さんの本は現在はお呼びではないだろうが。