Cardinal numberというのは私は集合の数、すなわち、基数のことだと思っていた。ところが集合の濃度という意味もあると最近ようやく知った。
数学者の N さんによれば、集合の濃度という訳は知っていたが、基数という意味は知らなかったというから、立場が違うと訳語も違ったものとなる。
基数、序数というのがcardinal number, ordinal numberの世間で通用している訳語だと思うのだが、数学者の遠山啓はそれぞれを集合数、順序数といっていた。
『新明解国語辞典』(三省堂)によれば、cardinal numberは基数、集合数、計量数という言葉が出ていた。ordinal numberの方は序数。順序数という語であった。
話は濃度になるが、集合の濃度はcardinal numberであるが、溶液の濃度はもちろんcardinal numberではなく、concentrationという。これも何十年も昔に論文のタイトルかなにかで見て、あれ、これはどういう意味だろうと辞書を引いたのを覚えている。
もちろん、concentrationの普通の意味は「集中」であろう。ちなみに、あまりいい意味ではないが、ドイツ語でKonzentrationslagerは(ナチスの)強制収容所のことである。
ラテン語を学んだことはないが、イタリア語をかじったことがあるので、conは「一緒に」とか「ともに」とか意味の接頭辞であることを知っていた。