ブラックホールの写真はデータを3箇所で別々の方法で処理して、ほとんど同じ画像が得られたので、世界で同時に発表されたことを知った。
よく私は異なった方法で同じことを導くということを教育的な観点からしばしば行っているが、そういう考えが研究においても使われていることを知った。
それぞれ違った背景を持つグループがデータを処理してそれでもほとんど同じ画像が得られたことは彼らの自信を深めたことであろう。もっとも小さなところでは画像に違いがあるようにも見えた。これはNHKの放送で知ったことでもある。
世界の5か所で観測した同じブラックホールのデータを1か所に集めて、処理したのだという。処理した場所が日本、アメリカ、それとヨーロッパであったのだろう。
それぞれの箇所がそれぞれの国とか地域の全力をあげて、画像を合成してつくったという。科学のすばらしさである。
(2019.8.3付記) 実はもう何十年も前のことだが、コンピュータでの理論的計算はできるだけ別の方法でも計算して、その確かさを確かめることにしていた。先行した研究があれば、それとの一致を見るなどは当然のことであった。あるとき、ニュートリノによるKaonの生成断面積を計算したのだが、先行研究となかなか一致しない。それはとっていた座標系が先行研究とおなじでなかったからである。
国内で行われた国際会議で上智大学におられた藤井昭彦さんにお会いしたときに、なかなか合わなくて困りましたとお話したら、問い合わせてもらえばよかったのにと言われた。そのときには、そういうことも思いつかなかった。
もちろん、実験値の理論的な再現ができないと理論としては失敗である。