町田茂さんといえば、星崎憲夫さんを思い出さねばならない。彼は京都大学を定年後に『基幹物理学』という名の大部な物理の自習書を書いていた。
私たちの先生である小川修三さんの葬儀があった後で友人たちと帰る途中で白髪のあまり背の高くない人と一緒になった。それで「あなたはどなたですか」とぶしつけに聞いたら、先輩が
「お前は星崎さんを知らないのか失礼な」といわれた。
友人の樋口さんの上司が星崎さんであったので、一度ならず会っていたはずだが、物理とはあまり関係がなくなった私は覚えていなかった。
その後、なんどか星崎さんと文通をしたことがあったが、そんなにに早く亡くなるとは思っていなかったのだが、その後、割と早く星崎さんは亡くなってしまった。
何だったかよくは覚えていないが、武谷さんに関することが手紙のやりとりのテーマであった。また別の先輩からは『基幹物理学』は1万円くらいで高価だったが、「香典代わりに自分は買ったから、君も買いなさい」と勧められたが、買わないでいるうちに何か出版社と遺族との間にトラブルか何かが起きた。そのうちにそれは解決して、また市販されるようになったと思うが、結局買わなかった。
その本にかなりの加筆したのは町田さんだったと聞いている。最近では、その著者に旧知の佐々木隆さんまでもが加わっている。