棚の上の封筒に何が入っているのかを調べたら、2001年度の法文学部の夜間主コースでした講義のノートが出て来た。これは授業科目「自然の営み」の中で行った『原子物理学』という講義であった。
ノートのページ数は34ページであるが、目次をみると
1.はじめに
2.X線と放射能
3.電子と中性子
4.原子の量子論
5.原子核反応
6.核分裂と連鎖反応、その発見者たちの人物像
7.臨界量
8.原子爆弾
9.原子炉
10.原子力発電
11.放射線障害
12.原子力の将来
13.核と政治
とある。34ページでこれらがすべて十分に講義できたとは思わないが、なかなか興味深そうな目次であろう。
仕事をもっている人たちが学ぶコースがこの夜間主コースであった。8時くらいから授業が始まるので、時間をつぶすためにその前にあったカナダ人のフランス語の先生の授業に了解を得て、出席さしてもらった。
学生の邪魔をしたくなかったので、できるだけ静かにしていたが、それでもやむにやまれず授業の途中で数回先生にフランス語で質問をしたことがあった。
私のフランス語で言えることなどしれたものだが、それでも私の試験の答案 紙の余白にあんなにフランス語を話せるなんてと書いてくれた女子学生もいたが、これなどは単位ほしさのためかもしれないなどと思った。
フランス語の最後の授業での試験を受けて合格したが、先生が評価を学務係に届けようかと言われたが、その必要はありませんと答えたのを覚えている。
この講義の数年前に工学部の学生を対象にした歴史の科目として「技術と科学の歴史を考える」と講義の第2部として「原爆製造と原子核物理学」という講義を7, 8時間受け持ったことがあった。
これはいわゆる大学の教養部が廃止されたことによって、歴史学とかに関係がまったくなかった私にまで歴史学の講義の一部の担当が回ってきたことが原因であった。なお、参考までにこの講義の第一部は友人の物理学者で、その後、情報処理を専門とした故N教授であり、コンピューターの歴史であったと思う。
(注)これらの2つの講義の付録として私が以前に書いた『ドイツ語圏世界の科学者』というエッセイをつけた。