金田数正さんとはどういう経歴の人か存じ上げていない。
ただ、内田老鶴圃 (1984/10)発行の
三角関数―ひとりで解ける (金田数正基礎数学シリーズ) 新書 – 1984/10
のアマゾンでの書評で
2016年3月16日
三角関数~微積~微分方程式~図形と式~ベクトル~因数分解~不等式~行列式~それほど著者は数学教育に真摯である人なのでしょう。とにかく,数学をおそるるに足らず。の精神と指針で,サクサクやってゆこうというやり方です。三角関数の基礎の基礎から初めて,微積分への応用にも使えるように工夫されています。たぶんこの本が最初かもしれませんcos²θーsin²θ=cos2θ。。とsin²θ+cos²θ=1を組み合わせて,数々の公式が導出できるといってくれたのは。惜しいのは,数Ⅱまでの範囲となっているので,続編で三角関数の極限や微積までの応用などがでるとうれしいが。
という書評があった。「cos²θーsin²θ=cos2θとsin²θ+cos²θ=1を組み合わせて,数々の公式が導出できる」というのがどのくらいの公式がこの二つから導かれるのか実際に
三角関数―ひとりで解ける
を見ていないのでわからない。しかし、cos²θーsin²θ=cos2θとcos²θ+sin²θ=1を組み合わせて倍角公式や半角公式を導くことを書いているのは、私の知る限り金田数正さんが初めてではない(2022.1.28 注)。
私がこの二つで倍角公式と半角公式を導くことを知ったのは1957年(この年に私は高校3年生)であり、藤森良夫『解析の基礎』続編(考え方研究社)であった。そのほか秋山武太郎『わかる三角法』(1960)(日新出版)とかラング『解析入門』(岩波書店)(1978)にも書いてある(このことは最近知った)。いずれもさりげなく書かれている。いちばん強調されているのは藤森良夫『解析の基礎』続編であろうか(それだってほんの数行にしかすぎない)。
しかし、2016年のアマゾンでの書評者のけちをつけるつもりはまったくない。ただ、この教授法の歴史は長いということをいいたかった。
(2020.5.8付記) その後、『三角関数―ひとりで解ける』を購入して読んでみた。金田さんはどこでこの倍角公式の導出法を学んだかは書いていないが、たぶん私と同じに藤森良夫『解析の基礎』続編で学んだのではなかろうか。もっとも金田さんは私などよりも7,8歳も年長の方であり、他のところで学んだのかもしれない。
(2022.1.28 注)
細かなことだが、藤森良夫先生はsin²θ+cos²θ=1ではなく、cos²θ+sin²θ=1と書かれている。これはcos²θーsin²θ=cos2θと対応させるためである。
上下に並べてみよう。
cos²θ+sin²θ=1
cos²θーsin²θ=cos2θ
とすれば、この2つの式を辺々を足したり、引いたりすれば、
2cos²θ=1+cos2θ
2sin²θ =1ーcos2θ
が求まる。2θをθとおけば、これは半角の公式である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます