先日医師の飯尾先生から次のようなコメントを頂いた。
(引用はじめ) 今の世はタチツテトであるといいます。
(1) タ は多様性
(2) チ は地球、つまりエコ
(3) ツ は通信、つまりネット
(4) テ はデフレ、つまり安い値段
(5) ト はコト、物はもう足りたのでイベント
だというのです。(引用おわり)
まことにそのようなまとめをされる頭のいい人が世の中にいるものだと思わされた。
どうも、このコメントほど冴えた言い分ではないが、私の知っているものをご紹介しておこう。
一番初めは学生の頃に妹から聞いた調味料の使う順序である。サシスの順序に使うと。つまり砂糖、塩または醤油、酢の順であるとか。
カウンセリングでは「ほうれんそう」が大切だと聞いた。報告、連絡、相談である。大学の新しい学部とか学科では環国人情であるとか。
これは環境、国際、人間科学、情報の学部(または学科)のことである。このことを聞いたのはもう10年以上前のことなので、今では違っているかもしれない。
こういうこととは違ったものに記憶のためのものもある。いわゆるmnemonics(発音nimanik)記憶術である。
これで一番重宝しているのはベクトル3重積のback-cab ルールである。3つのベクトルa,b,cがあり、これのベクトル積a*(b*c)=b(a・c)-c(a・b)の右辺の形から来ている(注1)(注1付加)。
これはいわゆるBerkleyの物理学シリーズの訳本(丸善)を読んで知った。もちろん、a,b,cの中でb,cがナブラという微分演算子であるときにはFeynman lecture(訳書は岩波書店発行)の注意にしたがってb(a・c)を(a・c)bとbを後ろに回して使わないといけないということはあるが。
フランス語では語尾の子音は発音しないのが普通だが、carefulに含まれた子音 c, r, f, l はよく発音されるという注意もある。
sin,cos,tanという三角関数の定義を覚えるのに「対/斜(sinの定義)の隣/斜(cosの定義)は対/隣(大車の隣車は大輪)」という覚え方もある(注2)。
ただし、このときに角に向き合った辺を対辺(高さともいう)、それから角の側の辺を隣辺(底辺ともいう)という。英語では対辺をopposite side, 隣辺はadjacent side, 斜辺はhypotenuseというらしい。
この最後の斜辺のhypotenuseというのが私にはなかなか覚えられない。
(注1) ここで*はベクトル積を表す記号の代用をしている。
(注1付加)バックーキャブ(bac-cab)ルールではなくて、中央項ルールの方が有用である。ベクトル積a*(b*c)=b(a・c)-c(a・b)では(bac-cab)ルールでいいのだが、(a*b)*cのときはそのままでは(bac-cab)ルールはつかえない。
ところが中央項ルールでは、どちらでも真ん中にあるベクトルbの前の係数は残りのベクトルのスカラー積(a・c)となる。もう一つのカッコ内にある、ベクトルaの前の係数はa以外の残りのベクトル-(b・c)であり、要するに(b・c)に負号ーをつければよい。
すなわち、(a*b)*c=(a・c)b-(b・c)aである。この中央項ルールは元のベクトル積a*(b*c)=(a・c)b-(a・b)cでも成り立っていることは各自で確かめられたい。
これは単なる記憶法だが、便利である。
(注2) 対/斜は、もちろん、sinの定義、隣/斜はcosの定義、対/隣はtanの定義である。この定義は三角関数というよりは、むしろ三角比の定義というべきであろう。