民主党代表選の日程は週明け月曜日(14日)の常任幹事会(常幹)で決まります。
これに合わせて、きょう(12日)付の毎日新聞と産経新聞が民主党代表選をテーマに社説を書いています。
とはいえ、9月21日の投開票まで2ヶ月前ですから、異例のことです。
先日、日経新聞の西田睦美論説委員が指摘していたとおり、代表選=次の首相選であることに、全国紙論説委員が気付きだしてきたことが背景にあることは間違いありません。
新聞社というのは霞が関並に官僚的な組織です。ですが、論説委員会室にいるメンバーは、社長・編集局長・政治部長というラインにいる人よりも比較的世の中が見えているところがあります。
毎日新聞や産経新聞の論説委員がどういう人かは知りませんが、実はこの社説は読者向けではなく、「民主党への取材体制をしっかりつくって、政権交代後に備えよ!」という自社の幹部(けっこうKY)への暗黙の忠言なのかもしれまん。」
毎日新聞社はノーベル平和賞のマータイさん(ケニア)の「もったいない(MOTTAINAI)」キャンペーンをやっていますが、社説の題に「民主代表選 無投票ではもったいない」と社のスローガンを使ったのが、その証拠です。
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社説:民主代表選 無投票ではもったいない(毎日新聞)
民主党の代表選は9月21日に投開票とする日程で調整が進んでいる。今のところ、小沢一郎代表の続投を求める声が党内の大勢のようだ。しかし、情勢がそうだとしても無投票が望ましいとの意見が出ていることには首をひねる。やはり、対抗馬が出馬してきちんと選挙を行い、党内論戦を深めるべきだ。
代表の任期は2年。小沢氏は06年春、「メール問題」で前原誠司前代表が任期途中で辞任した後、就任し、同年9月無投票で再選された。今回は小沢氏の任期が9月で満了となるのに伴うものだ。
小沢氏が代表就任後、民主党は昨夏の参院選で圧勝。今年4月の衆院補選でも勝利し、「交代する理由は見当たらない」というのが党内の大方の意見だ。
一方では、昨秋の自民党との大連立騒動後、一転して対決色のみを強める小沢氏の国会運営には党内にも不満がある。選挙戦になれば亀裂が拡大するとの懸念が無投票再選論につながっているようだ。
だが、今回の代表選は今までと意味合いが大きく違う。次の衆院選で民主党が過半数を取れば、民主党政権が誕生し、衆参のねじれも基本的に解消する。その可能性が従来になく現実味を帯びてきている中での代表選なのだ。つまり今度の代表選は文字通り「首相候補」を選ぶ選挙となる。
これまで小沢氏は自らの首相就任について「私が代表の間であれば、私自身が責任を負わなければならない」などとは述べているものの、必ずしも「ぜひ私が」と明言していない。
小選挙区比例代表並立制の今の衆院選は「政権=首相」を有権者が選ぶ選挙になりつつある。ところが無投票となれば、民主党が本当に「小沢首相」を目指すのかどうか、確認できなくなる恐れがある。あいまいな姿勢では有権者も判断に迷ってしまう。
国会運営だけでなく、小沢氏が打ち出す政策に対しても「財源が定かでない」「ばらまき政策だ」との批判は、与党だけでなく民主党内にもある。
無投票で政策論争も行われなければ、かえって党内に不満がたまることにならないか。民主党も、いつまでも「党内はばらばら」と指摘されるままではいられない。ここは亀裂を恐れるより、むしろ真剣な政策論争を通じて党内の一致を目指す時だ。その論争が政権担当能力を示すことになり、次期衆院選の同党のマニフェストを一段と充実させることにつながるはずだ。
米大統領選での民主党の候補者選びを持ち出すまでもなかろう。オバマ氏とクリントン氏の対決は、しこりを残したとの指摘はあるが、米国民の関心を高めたのは事実だ。
無投票ではあまりにもったいない。「候補」と目される議員は、積極的に手を挙げるべきである。
毎日新聞 2008年7月12日 東京朝刊
【主張】民主党代表選 政策論争の好機を失うな(産経新聞)
2008.7.12 03:25
民主党代表選の日程が14日に決まる。9月7日告示、21日投開票の予定だ。小沢一郎代表が出馬に意欲を示す一方、対抗馬擁立は具体的な動きに至っていない。
党内からは小沢氏の無投票3選を支持する声が相次いでいる。このままでは党首を選ぶための政策論争が行われない可能性が高いという。
民主党はこれでよいのか。党首候補が本格的な政策論争を展開し、政権を担える政党であることを国民の前に示すことが、なによりも必要なときである。政治決戦となる総選挙をほぼ1年以内に控え、国民は注視している。
最大の論点は小沢路線だ。先の国会で、小沢氏はガソリン値下げを争点に衆院解散・総選挙に追い込もうと「政局至上主義」を主導した。後期高齢者医療制度について代案を出すことなく、廃止法案を参院で可決したことなども、そうした例のひとつだ。
安全保障面でも小沢氏は、海上自衛隊のインド洋での給油活動は「武力行使と一体」と主張し、国連安保理決議がないからとの理由で撤退を求めた。結局、海自のテロとの戦いは一時中断した。
これに対し、前原誠司副代表は月刊誌などで問題提起した。
前原氏は、民主党が先の参院選のマニフェストに掲げた農業の戸別所得補償や子育て支援などの財源について、小沢氏が述べる行革努力だけで18兆円の資金を捻出(ねんしゅつ)することは厳しいと語ったほか、「小沢氏が唱える国連中心主義を貫けば、日本は国連が決めなければ何もできない国になってしまう」などと訴えた。
前原氏の意見に賛同する民主党議員は少なくないという。
だが、いずれも代表選には静観の構えだ。民主党が4月の衆院山口2区補選などで勝ったことで、政権を奪取するには小沢氏の政治手腕に期待するしかないとの認識が大勢のようだ。
論争をはばかる雰囲気もあるという。政策論争が党内対立を深めるからというのだ。これはおかしい。徹底した党内論議を通じて結論を出し、決まったことに従うというのが政党の基本である。
有識者が集まる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)も6月、民主党が首相候補をどのように選んだかが問われる、との緊急提言をまとめた。国民は民主党が政権を担って日本をどうするのか、を知りたいのである。
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