渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

大人の事情 小沢幹事長が閉会中の英国議会視察で出国

2009年09月20日 20時02分54秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足
 民主党の小沢一郎幹事長がきょう(20日)午前、成田空港から出国しました。これに先立ち民主党は「小沢一郎幹事長を団長とし、(小沢秘書出身の)樋高剛衆院議員、専門家による調査団が20日~25日、英国で実務調査をする」と発表しました。

 達者な方は、次の英国議会の日程を見ると分かると思いますが、

 http://services.parliament.uk/calendar/default.aspx

 英国議会は今月は夏休み中で何一つ本会議・委員会の日程が入っていないようです。英国議会は11月召集の通年国会制に変わったそうですが、9月は何もなく、次の開催日は10月12日のようです。同日は庶民院(下院)で健康保険法案の審議再開や文部科学・ロンドン五輪相への一般質疑(Oral Question)などの議題が設定されており、論戦が再開するようです。そこから会期末まで一気に連日論戦が続き、最終盤国会の攻防に突入するのでしょう。ですから、今イギリスに行っても、議会は夏休み中のようであって休会中、日本風に言えば、“閉会中”のようです。

 そこで、民主党ニュースを改めて読むと、訪問団の目的は、「英国労働党、保守党の事務局幹部、下院事務局幹部、司法省など関係省庁の幹部学者などと面談し、調査を行うことになる」と書いてあり、国会議員に会ったり、本会議や委員会を傍聴するとはヒトコトも書いてありません。

 小沢さんは昨年5月のゴールデンウィークは、韓国へ行ったと思います。このようなときは、主にホテルで読書をしているそうです。そして、小沢さんはいっさい電話の取り次ぎに応じないので、随行者は対応に困ることもあるそう。総理の電話だってでないかもしれません。小沢さんは気分屋というか、ダブルスタンダードですから、思い付きで総理に電話し、その後、副総理から電話がかかってきても出ない、ということもあるかもしれませんが、基本的には休養であって、動くのは25日(金)の帰国後、来週からということになるでしょう。

 休養であって、検査を受けるわけではないだろうと推測します。また、MI6、CIAに会うなどという憶測は、昔なら『007』ジェームズ・ボンドの見過ぎ、ちょっと前なら『ゴルゴ13』の読み過ぎ、最近では2ちゃんねるのやりすぎだから、ちょっと秋の風で頭を冷やした方がいいでしょう。

 ところで、昨年の小沢さんの訪韓中は、山岡賢次さんが日本で「小沢さんは時々三振するので穴埋めが大変(笑)」と講演し、リラックスした姿を見せました。

 紳士の国・英国。大人の事情を察しましょう。鬼の居ぬ間にしっかり休もう、マイ・フェア・レディ。

民主党:小沢幹事長、20日から訪英予定 英国国会、議会、政党、選挙制度等の実務調査行う

 民主党は18日、小沢一郎幹事長を団長に、樋高剛衆議院議員、専門家らによる民主党調査団が20日出発、25日帰国予定で訪英し、実務調査を行うとの日程を明らかにした。

 調査項目は、(1)国会審議の方法と議会運営の在り方、(2)選挙運動の規制と自由化、(3)企業団体献金の禁止と個人献金の在り方、(4)公務員制度改革に向けた環境整備など。

 英国労働党、保守党の事務局幹部、下院事務局幹部、司法省など関係省庁の幹部、学者などと面談し、調査を行うことになる。
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密約に「苦渋の判断あったかもしれない」とし有識者会議設置へ 岡田外相

2009年09月20日 11時01分31秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

 岡田外相は9月16日深夜(9月17日未明)の外務省初登庁直後に日米間の過去の密約4つについて、11月末までに調査結果をまとめるよう、藪中外務事務次官に対して「大臣命令」を発布しました。これは「指示」ではなく、「命令」で、国家行政組織法などに基づき、従わなければ事務次官らがクビになる、という大変重いものです。もちろん、藪中次官らは快く命令に従い、15人以上の職員によるチームを設置し、3200冊以上のファイルを読み込み、精査することを決めました。

 岡田外相は「外交というのは国民の理解と信頼に裏付けられたものでなければならない」と語りました。デモクラシーの出発点である公文書管理・情報公開によって、外交への国民の信頼の基盤を整え、民主党政権による“日本の夜明け”を演出するねらいだと思います。

 なお、マニフェスト・政策インデックスには、この案件はありません。大臣命令発布は、“何事も初めが肝心”という闘いの鉄則に基づくものでしょうが、「(自民党の)大臣が『密約はない』と国会で答弁しているのに官僚が『ある』と答弁することはできない」として、外務官僚の“若気の過ち”の免責を約束すると同時に、来日した旧知のカート・キャンベル国務次官補から「米国ではすでに公開された周知の事実も多い」「日米関係に悪影響はない」との認識を述べてもらい、右手で官僚、左で米国と握手しながら“綱渡り”をすることになりました。ここ3日間、ずっと岡田さんの狙いを考えていましたが、中間的なとりまとめとしては、こういうことだと考えています。

 “綱渡り”というのは、外交の継続性がある以上、自民党政権とはいえ、日本外交の機密が明らかになったときに、どのような影響があるか? 岡田外相は20日朝のテレ朝「サンデープロジェクト」で、「(密約の背景に)苦渋の選択があったかもしれない」とし、調査報告書ができてから1ヶ月程度で外部の有識者会議を設け、密約の背景について、話し合ってもらうことを明らかにしました。

 4つの密約のうち、3つめ、佐藤首相が非核3原則「核を持ち込ませない」を発表した後の、1969年1月の日米首脳会談で、「核持ち込み」の秘密文書に、ニクソン大統領とサインしたとされる決定的証拠が出てきた場合にも、それが必要な密約(外交機密)だったかどうかを、調べる方針を示しました。

 米国公文書館(アーカイブ)のホームページには「(デモクラシーは公文書から始まる)Democracy Starts Here.」と大きく書いてあります。11月末の「密約報告書」は、まさに民主党デモクラシーの出発点になります。

 なんだかワクワクしてきました。欧米と比較して遅いか早いか--はいいです。私たちの国のデモクラシーをしっかり歩いていけばいいのです。

 関連エントリーです。

公文書管理法案の審議に影響か?核兵器持ち込み密約を外務事務次官が情報を独占していた 共同報道

 以下のエントリーに書いたように、岡田外相は党副代表だった3月14日に、密約の公開を予告しています。

【岡田発言】「記者は国家公務員法111条違反で逮捕」「会社は倒産」を惹起させるねらいか?


岡田外相(岡田克也)、藪中三十二・外務省事務次官、佐藤栄作首相
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