【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

モラトリアムで作業チーム、「借り手は希望者」は骨抜きにつながるのでは?

2009年09月30日 00時54分51秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

[写真]亀井静香・金融・郵政改革担当大臣=民主党第45回衆院選推薦候補紹介ページからキャプチャ(現在このページはない)

 内閣府副大臣の大塚耕平さんは29日の「モラトリアム法案」に関する作業チームの初会合で、対象となる借り手について、「希望者が対象だ」とし、一律的な債務の棚上げを想定していないことを明言したそうです。日経が伝えています。

 しかし、モラトリアムを申し出た企業は、その金融機関はおろか、他の銀行からも将来的に融資は受けられない、ということになるでしょう。もちろん、後継者なしの社長さんが70歳以上の会社などはいいかもしれない。でも、嵐を通り抜けた後にも、新規融資が受けられないと、代表取締役を変えて別法人で再スタートする会社も出てくるのではないかと思います。ぜひ、大塚耕平さんには日本では圧倒的に「貸し手>>>借り手」だということに配慮して欲しいと思います。骨抜きになるよりは、モラトリアム対象者を限定した方がマシなのでは。

 ところで、鳩山由紀夫代表(総理)らが選挙前から「モラトリアム」というか、中小企業元本返済猶予措置を検討していたという指摘があります。これはまぎれもない事実で、実はマニフェスト策定のプロセスでも民主党で策定委員会と一部議員の間で、激論になっています。鳩山代表は、7月の都議選でも、街頭演説で、たしか中央区、築地だったかと記憶していますが演説でこの政策に触れています。拍手喝采を浴びた鳩山さんは、「反応の良さに驚いた」ということを人づてに聞いております。

 その後のマニフェスト策定作業では、まさに亀井静香さんから「これは国民新党の目玉公約だ」ということを言われ、あるいは他の配慮もあるのでしょうが、民主党マニフェストには入っていませんでした。

 これは単純に法案としてどう仕上げるというよりも、法案を出す作業の中で、全銀協、地銀協などがどう対応してくるか、という極めて与党的、政治的な取りまとめ作業が必要になってくると思います。野党時代と比べると「未知との遭遇」に近いのでは。

 ここを乗り越えると鳩山政権の経済政策の舵取りは、かなりスムーズになってくると思います。

 それと、月末ということで相次ぎ発表されている経済指標をみると、やはり今年の年越しも一定の財政出動を伴う景気政策が必要のような気がしてきました。この辺は財務省・経済官庁の官僚の意見もしっかり汲み取っていく必要があるのではないでしょうか。

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 政府・与党は29日、中小・零細企業や個人を対象にした債務の返済猶予制度に関する作業チームの初会合を開いた。亀井静香金融担当相に原案作成を指示された、大塚耕平副大臣は同日、貸し手側の対象について「(銀行など)預金取扱金融機関を想定している」と述べるとともに、すべての借り手を一律的に対象にすることを否定した。

 作業チームの初会合には与党3党の政策担当者や経済産業省の政務官が参加。10月9日を目標に原案を取りまとめることや、民主党が08年末に国会に提出した「貸し渋り・貸しはがし防止法案」をもとに検討を進めることを確認した。

 返済猶予制度をめぐっては、債務の返済が数年間止まることで、銀行の経営が悪化し、結果として信用収縮を招くとの指摘も出ていた。大塚副大臣は「(借り手は)希望者が対象だ」とし、一律的な債務の棚上げを想定していないことを明言した。亀井静香金融担当相も会合に先立つ閣議後の記者会見で「あらゆる借金をいっぺんに棒引きするなんて言ったことはない」と語った。 (00:21)