【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

税調会長は藤井裕久財務相、峰崎直樹・財務副大臣が「事務局長」に 進む“菅外し”

2009年09月22日 06時46分24秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足


写真=藤井財務相(上)と、峰崎直樹財務副大臣(下)

 政府税制調査会の会長(税調会長)に藤井財務相がみずから就任し、“事務局長”に峰崎直樹・財務副大臣が就くそうです。きのう(21日)開かれた初の財務省政務三役会議で話し合われ、10月上旬に第1回会議が開かれるようです。新聞各紙、NHKが伝えています。

 民主党はマニフェストで党と政府の税調を一元化することを決めていますから、民主党税調は廃止され、藤井会長の下に税制改正の議論が集約されます。

 税調担当・財務副大臣になる峰崎直樹さんは北海道選出の参院議員、当選3回。1996年の第1次民主党(鳩菅民主党)結党メンバーの中で唯一今も民主党に残る参院議員です(このほか、簗瀬進さんが衆院→参院に院替え)。

 峰崎さんは今年度本予算を審議した参院予算委で筆頭理事として采配をふるったほか、かつて、財政金融委員長、地方行政委員長などを歴任。民主党では税調会長、ネクスト財務相、経済・財政担当などを務めました。

 一橋大学大学院の経済学修士から鉄鋼労連の事務局に入り、政策作りをする職員を務めていたそうです。その後、自治労北海道本部でも調査室長を務め、1992年の第16回参院選に出馬し、「社会党王国・北海道」で初当選しました。ですから、労組役員出身ではなく、シンクタンクのエコノミストに近い人です。

 例えば、農林中金に対する党の部門会議のヒアリングでは、「監査法人はどこですか?」と質問するなど、要点を簡潔にしっかりと聞いたり、話したりできる人で、ときに自慢話が長いことをのぞけば、民主党らしさにあふれた今までにないタイプの与党政治家・税調幹部として国民、官僚双方の支持を得られるのではないでしょうか。
 
 これまで政府の税調会長は大学教授、与党の税調会長は元閣僚の大物議員が分け合いました。毎年末の自民党本部ビルは「減税の継続を!」「増税に反対!」と書かれたプラカードを持った陳情客があふれ、それが権力の象徴とされました。税調会の総会では、若手議員が自分の支援団体のために「○○減税を継続してください!」と叫ぶためだけにマイクを奪いあいました。これが自民党税調の姿です。

 77歳で欲のない藤井財務相の税調会長就任で、「税制論議の正常化」を期待したいです。

 新・税調は藤井会長、峰崎副大臣の下に各省の大臣政務官が参加することになります。ところで、我が国の税制は国税は財務省、地方税は総務省が企画することになっており、“50年戦争”と呼ばれるほどの激しい鍔迫り合いが両省で演じられてきました。税調メンバーとなる総務大臣政務官は重要ポストとなりますが、3人いる総務大臣政務官のうち、おそらく小川淳也さん(香川1区、当選2回、38歳)が総務省を代表して、出席するのではないでしょうか。

 一方、国家戦略室。菅副総理の古川元久室長、大塚耕平さんらは内閣府「副大臣」ですから、税調に参加できないことになります。おそらく国家戦略室からは、田村謙治・内閣府大臣政務官(静岡4区、当選3回、41歳)が担当になるのではないかと思いますが、古川、大塚両氏ら国家戦略室主要メンバーを意図的に外すねらいがある可能性もあります。

 このほか、東京新聞は「政府高官が国家戦略室への局への昇格法案は秋の臨時国会ではなく、来年の通常国会へ先送りする」という報道もしており、露骨な“菅外し”が起きているように思えます。現在の「政府高官」には、鳩山グループ(実現する会)のメンバーしかいないはずだし。やれやれ与党は大変です。一方、朝日1面には「現行3人の官房副長官を4人に増員、1人に国家戦略局長を兼務させ」 る法案を秋の臨時国会に提出する方針というまったく別の記事が出ていますが、記事の中には、「初代の国家戦略局長(官房副長官)には、菅直人国家戦略担当相を補佐する古川元久・内閣府副大臣(国家戦略担当)が想定されている」と書いてあり、おかしくて腹がよじれそうです。菅さん、落ち着いてください。

 tag 藤井財務相(藤井裕久財務大臣)、峰崎直樹(みねざき・なおき)、菅副総理(菅直人・国家戦略担当相