渡辺恒雄あとつぎ宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

ハシゴを外された両大臣 思い付き政策での巻き返しは自重を

2009年09月21日 05時45分32秒 | 第172特別会(2009年9月)鳩山政権発足

 ドリフのコントのようにハシゴを外された菅副総理・国家戦略局担当相と仙谷行政刷新会議担当相。次々に指示・命令を発する長妻厚労相、前原国交相、岡田外相、原口総務相、川端文科相らとくらべて、2人がいかに大臣になるための準備を怠ってきたかが、ありありと分かります。

 菅さんは20日の日曜討論で目が泳いでいました。かなりつらい状況に追い込まれてしまっているようです。民主党の名誉のために、菅大臣、仙谷大臣には巻き返してほしいのです。が、菅さんは「複数年度予算を導入する」という明らかに思い付きの発言をしてしまいました。藤井財務相は番組終了直前には、明らかに笑いをかみ殺そうとしていました。さらに藤井さんは「マニフェストは断固守るのが私の考え。マニフェストの通りにやる」と言いました。まさにその通りです。マニフェストをしっかり守っているからこそ、前原国交相の八ッ場ダム・川辺川ダム中止がスムーズに世論に受け容れられ、内閣の金庫番である藤井財務相もお墨付きももらっているのです。

 鳩山総理が5月16日の民主党代表選出直後の記者会見で、突然、「国家戦略局」という言葉を初めて使い、ナニゴトかと思いました。「行政刷新会議」は2005年7月27日に岡田代表が発表した財政再建プランで登場したことばです。

 しかし、なんだか、「国家戦略局」も「行政刷新会議」も、小沢幹事長が両大臣にしかけた罠のように感じてしまうほど、両大臣は5日間で失速しました。16日の組閣からわずか5日間でこの有り様。これは「政治は一寸先は闇」という言葉よりもむしろ、明治維新のときのように歴史の転換局面におけるすさまじいまでのスピード感を感じます。少年期にマンガで読んだ「江戸から明治へこんなに時代が大きく変わったのは初めてじゃ」と語った明治元年の大晦日の庶民と同じ世界に自分がいるだと思います。

 この出遅れは、両大臣、2010年7月の第22回参院選まで取り戻せないと覚悟した方がいい。巻き返しのために思い付きを言わない方がいい。思い付きで「複数年度予算を導入する」なんて、爆笑のヒトコトですよ。こんなこと言ったら、政治生命失いますよ!菅さん。憲法違反だし、一般会計が単式簿記であるという予算書のイロハのイを理解していない。勤続30年間、何をやっていたんでしょうか。菅さんは都連代表として都議会民主党に口出ししますが、東京都庁が複式簿記・発生主義会計であるということを勉強したことがあるのでしょうか。この人は公会計も地方自治もまったく理解していない人だと今さらながら認識せざるを得ません。

 ここまで読んで、菅ファン、仙谷ファン、とくに両大臣と同世代(団塊)の人は怒り心頭に発したと思います。すいません、期待の裏返しということで勘弁してください。菅、仙谷両大臣はことし5月の代表選では、日本のため、民主党のためにすぐれた判断をしました。両大臣に善後策を提案したいと思います。

 まず仙谷大臣。仙谷さんは弁護士ですから同時に税理士でもあると思います。税理士ならば、次のことは理解できるはずです。

 就任会見以降、仙谷大臣から「業務棚卸し」「事業仕分け」という単語を少なくとも私は一度も耳にしていません。私は行政刷新会議とは、「予算書の各項目を棚卸しし、仕分ける部署」と理解していたのですが、違うのでしょうか? 

 それと特別会計の積立金のうち年金基金などを除いた“埋蔵金”(68兆円=細野試算)、独立行政法人の余剰金(16兆円=同)、独立行政法人の関連会社と公益法人の余剰金(11兆円=同)を徹底的に調べ、電話したり訪問したりして回収していく作業をする“RCC”(整理回収機構)のようなチームだと思っていました。

 菅、仙谷両大臣は職員定数の増減は政令改正が必要だ、ということを知らなかったようです。仙谷大臣は19日のNHK番組で、「多くても7人」とずいぶんちんけなことを言うところまで追い込まれてしまいました。だったら、政府に入れなかった与党議員を使えば、100人チームも可能なのではないでしょうか? これはある当選5回生のアイディアですが、私も賛成です。1年生議員でも、銀行員、弁護士、官僚、首長出身者ならばできる人がいると思います。“埋蔵金発掘ランキング”を発表してもいいかも。これはできる議員はドンドンできますが、できない議員はまったく何もできないと思います。仙谷さんは「若手の面倒見が良い」(渡部・党最高顧問)ことで有名ですから、そういった新人教育も政府でやれば、与党議員として励みになるのではないでしょうか。

 国家戦略局については、総選挙中に、「政策調査会事務局職員全員が官邸入りする」という一部報道が流れました。だれが何の意図で流したかは、だいたい察しがつくし、同情する面もありますが、やはり、この人たちは“切りたい人”です。人選のアイディアはあまりありませんが、まずは8月末の概算要求書を廃棄させなければいけなかったんだと思います。菅さん「概算要求の廃止」ととれる演説をしていて、何度か聞いております。だったら就任直後に概算要求書の廃棄を命令する、という手もあったのでは? 来年度の概算要求書が財務省の建物に山積みになっている状態で、今は9月中旬です。本予算原案の決定まで3ヶ月程度しか時間がないというスケジュール感がない。菅副総理の一連の発言、「外交も担当する」、「年内に第2次補正予算を編成する」、「複数年度予算を導入する」。これらの発言はほとんど爆弾同然、政府は大混乱するだけです。勉強不足です。まずは「思い付き発言」は絶対に我慢してください。とりあえずは古川内閣府副大臣(国家戦略局事務局長)に助けを求めるべきです。それから、政府税調と党税調を一元化するという話はどうなっているんでしょうか? 今のうちに古川さんを税調会長に指名してしまい、国家戦略局に政府税調を置いちゃうという手もあります。私は別に財務省にケンカを売っているのはなく、とりあえず私が菅直人ならそうする、ということを書いています。

 それと、次の記事を初めて読みましたが、参考になる点があると思いますので、読んでみてください。

 それにしても、9月16日以降、目が回るように情報があふれ出てきます。歴史の流れが変わりだしたのが実感できます。

共同通信配信記事、2005年7月27日=郵政解散(8月8日)の約2週間前

刷新会議新設し10兆円削減 民主・岡田氏が財政再建案
2005.07.27 共同通信 (全567字)  

 民主党の岡田克也代表は二十六日、政権交代実現後の八年間で取り組む財政再建案をまとめた。首相が議長を務める「行政刷新会議」を新設し、三年間で十兆円規模の歳出を削減するプランを打ち出す。併せて首相主導の予算編成を実現するため、予算編成権を持つ「国家経済会議」も設ける。岡田氏は、同案を今国会中にもまとめる政権構想「内政ビジョン」の柱に据える意向だ。
 再建案によると、行政刷新会議には企業再生に実績を上げた経営者らを起用。国家経済会議は首相が主宰して毎年度予算の大枠と中期目標を決定する。財務省の予算・財政企画部門は内閣府に移管し、経済財政諮問会議は廃止する。
 八年間で基礎的財政収支(プライマリーバランス)の均衡を目指し、最初の三年間を一期目、次の五年間を二期目と位置付ける。
 一期目は/(1)/国直轄の公共事業費を半減/(2)/補助金を二割削減して地方に一括交付/(3)/国家公務員総人件費の二割削減-などで十兆円規模の歳出削減を実現する。政府系金融機関の株式売却など八兆円規模の国有資産売却も進める。
 この間、財政再建を目的とする大型増税は行わないが、同党が公約している年金目的消費税の創設は、その分だけ年金保険料が引き下げられるため増税には当たらないとしている。
 二期目は特別会計の歳出改革に取り組み、所得税諸控除の整理や消費税率引き上げなども検討する。

菅直人副総理 仙谷由人(せんごくよしと)行政刷新相 長妻昭厚生労働大臣 前原誠司国交大臣 
岡田克也外相 原口一博総務大臣 川端達夫文部科学大臣 藤井裕久財務大臣

鳩山由紀夫首相(民主党代表) 民主党幹事長の小沢一郎さん

細野豪志衆院議員 民主党の渡部恒三最高顧問 古川元久・国家戦略室長

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