【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【民主党代表選を終えて】定着してきた「民の声は天の声」

2010年06月05日 12時50分40秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
 6月2日午前10時に鳩山由紀夫首相が辞任を発表し、4日正午過ぎに菅直人さんが民主党代表に選ばれた2010年6月の代表選が終わりました。

 グループと派閥の違いは何?といった民主党代表選の動きの見え無さに加えて、東京・赤坂などのホテルに選対を設けて、料亭?(あるいはレストラン・居酒屋)で会合が開かれる姿に「クリーン民主党への政権交代」とイメージの違いを感じさせるものがありました。

 面白かったのは、第45回衆院選で圧倒的な得票率を得て小選挙区を勝った中堅~1年生議員のうち、2日(水)の鳩山さんの発表を聞いて、すぐに地元選挙区に帰った人が多かったこと。

 首都圏の中堅は、その日の夕方に総支部幹事会を設定し、帰って報告、議論。厳しいことも言われたようですが、その時点で表明していた菅直人さんと野党時代に政調などで仕事をしていたことから、決めたとのこと。参院選への対応も練ったそうです。

 東海道新幹線沿線の1年生議員は、もともと予定されていた連合系地域組織の会合に参加し、意見交換できたようです。北関東選出の1年生議員も、電車で帰ると同時に駅頭演説を始めて、自分の考えをしゃべったところ、久しぶりに声掛けも多かったとのことで、菅陣営に参加し、電話掛けを始めたそうです。

 この人たちは一様に表情も明るく、「俺、一新会の会員だけど、赤坂の会合なんか出ていたって何も答えは出ないよ」とのことでした。私が知っているだけで、「地元とんぼ返り」は3人いて、3人とも、ものすごくスッキリした表情が印象的。まさに「民の声は天の声」。

 菅グループの正式名称は「国のかたち研究会」といって総務大臣届出済みの政治団体です。ここは民主党のグループでも結束が強くて知られていますが、正式に国研に入会届を出している議員にも案内がこない「インナー国研」のようなものがあるようです。菅陣営では本多平直議員が随分一生懸命回っているようでした。

 一新会(一新会倶楽部)が2日夜に開いた会合では、やはり勝手が分からないということで、初めて顔を出した1年生議員が数人いたそうです。この場で、「組織として候補者はまだ決まっていないが、一致団結していこう」という決議があったようですが、翌日、初めて顔を出した議員が決議に従っていないと怒っている人がいましたが、1回顔を出しただけで、支配下におけると思っているのは、一新会らしいですね。

 民社協会も「一致団結を決議」した後に、樽床さんの出馬表明があり、会合を何度か開くことになりました。鳩山グループ(政権公約を実現する会)は虚脱感があったようで、会合にも出席しないでいいやという雰囲気があったようです。

 新聞では「複数のグループに所属している議員もいる」との断り書きがつきますが、「全くグループに属していない議員もいる」との断り書きも付けるべきですよね。今の内閣で言えば、岡田克也さんと長妻昭さんはまったく属していないのに、閣僚入りしています。1年生議員で「ゼッタイにどのグループにも属しない」と宣言している議員が複数いますが、この中の一人は個人的に「菅直人さんを応援してください」と推薦人集めに奔走し、一新会倶楽部からも「あいつはすごい」と一目置かれているようでした。

 官僚出身者の方が、菅さんへの支持率が高いように感じられました。

 ちなみに樽床伸二さん擁立の呼び掛け人のうち、1年生議員に顔の利く三井辨雄国対委員長代理と笠浩史筆頭副委員長の2人は、元々は羽田グループのつながりで国会議員になっていて、2人とも羽田グループと一新会のかけ持ちのはずです。ですから、報道で樽床さんの票が小沢グループの票という説明がされていますが、樽床票には、羽田グループ票も混じっているわけで、羽田グループはどうも小沢グループに利用されてしまっている感じがします。

 それと、民主党秘書でも「樽床さん」の名前すら知らなかった人はかなり多かったようですが、「人柄が良いセンセイらしい」といった情報は一斉に横に流れていったようです。

 あいかわらず、県連つながり、地域ブロックつながりというのは活きていて、この辺は民主党らしさがあったと思います。

 まあ、でもそろそろ代表の任期は4年間(ないしは次の解散総選挙直前まで)に規定を変えるべきでしょう。