菅直人内閣が2010年6月8日発足しました。
官房長官には仙谷由人さん、財務大臣には野田佳彦さん、外相には岡田克也さん、内閣府特命担当大臣には、台湾人の父を持つ蓮舫さんらが起用されました。前日に民主党政調会長になった玄葉光一郎さんも、国務大臣として入閣しました。
きょう午前の民主党役員会には菅代表が出席しました。役員会に代表(総理)が出席するという当たり前のことが、政権交代後、初めて実現しました。一つ一つボタンの掛け違いを直していって欲しいです。
◇
さてさて、書きたいことはいっぱいあるのですが、とりあえず菅内閣が今後、ボタンを掛け違いを防ぐために気になった記事を紹介したいと思います。
これは5日付読売新聞の11面、「基礎からわかる菅直人」という記事。
菅さんは半年前に財務大臣に緊急リリーフしましたが、補正予算を審議した、1月の参院予算委員会で、自民党の林芳正元経済財政担当相から、「消費性向」「乗数効果」について聞かれて、答弁につまりました。この後から、ペーパーに目を通し、慎重な答弁が続きました。そして、政権交代後の鬼門である最初の当初予算を3月24日という早い段階で通すことに成功しました。
で、この記事は、
「ある経済官庁の幹部」の話として、
「林議員にやりこめられたことが相当ショックだったようだ。あれ以来、かなり勉強し、役人の意見も聞くようになった。今は微分方程式について勉強している」と打ち明ける。
これはヒジョーに「ある経済官庁」のキャリア官僚が言いそうなことですね。微分方程式と、政府としての経済・財政運営になんの関係があるんでしょうか。ここまでの皮肉が言えるんなら、イギリス人にでもなれと言いたいところです。
過去、消費税を上げた内閣は、参院選でボロ負けしています。消費税法を成立させた竹下内閣→宇野内閣の1992年、そして、3%から5%に引き上げた後に山一・拓銀ショックがあった橋本内閣の1998年。ともに消費税が端を発して、景気の動向に左右されやすい傾向がある参院選で退陣に追い込まれました。「消費税」は多くの政権が避けてきました。
民主党は、「企業から家計へ」を合言葉にしてきました。子ども手当の基本理念である「控除から手当へ」も方向性は同じです。野党時代に「自民党政権は経済を良くすれば生活が良くなる。民主党政権は生活が良くなれば経済が良くなる」といっていた人が副大臣になって、「法人税引き下げ」に言及していました。どうして、与党になると「法人税引き下げ」を言い出すんでしょうか? 不思議ですね(笑)。
そう言う意味では、代表選に臨む菅さんの代理でG20財務相・中央銀行総裁サミットに出席した峰崎直樹・財務副大臣が「法人税率の引き下げ競争が国際的に激しくなっている」「G20や国際機関で一定の税率の幅を取り決め、歯止めをかける必要性がある」と問題提起したことは絶賛したいです。
もちろん、「法人税引き下げに歯止め」というのも、財務省に好都合であるわけですが。そこは別としても、「法人税は引き下げて、消費税を引き上げる」という設定では、これは選挙はゼッタイに負けますよ。あり得ないですよ。
菅さんはブレーンである内閣府参与の小野善康・阪大教授から「第三の道」(増税して景気回復する)を吹き込まれていますが、私には「第三の道」はトンデモ理論だと思います。財政再建をするなら大企業と家計がともに痛みを分かち合う「最少不幸」の税制改革をすべきなのです。で、ハッキリ言うと、菅さんにはそれを説明できる能力はありません。ですから、仮にやるんだったら、財務省の骨抜き工作を排して、中央突破を目指す。その結果、内閣が倒れてもかまわないという覚悟で臨んで欲しいです。
鳩山内閣は「普天間」でしたが、菅内閣は「経済・財政」で虎の尾を踏みそうな勘がします。とりあえずきょうは、このことへの注意喚起を書くまでにしたいと思います。
◇
それと・・・
この内閣、気付いたら、自民党国会議員経験者が3人だけですね。保守合同(1955年)以降、連立政権も含めて、もっとも自民党経験者が少ない内閣でしょう。最年長の亀井静香さん(73)はつい最近まで自民党にいた人ですが、「僕の中での自民党」というのは、1993年6月18日(宮澤解散)に離党した人たちです。そうすると、北澤俊美防衛相(72)、岡田克也外相(56)の2人だけ。
「あの日」に離党した鳩山由紀夫前総理(さきがけ)が去り、党本部から小沢一郎前幹事長(新生党)が去りました。党役員では石井一さん、前田武志さん、それと山岡賢次さんも自民党経験がありますが、それでも3人だけで、世代交代が進みました。新生党新人として初当選した山田正彦さんが農相になりましたが、「あの日」に、あの巨大な自民党丸からイカダにのって飛び出しす勇気を持った人の存在感が薄れていく。下手したら「自民党だからダーティー」といわれやしないか、と。やれやれ、人事とは、何とも複雑なものです。
第40回衆院選の日本新党や新党さきがけ初当選組と志は同じ、前職候補か新人候補かの違いでしかないのですが。でも、自民党を飛び出した衆院議員は岡田さんただ一人・・・。岡田さんは、菅首相の隣りで記念撮影に臨みましたが、その辺どう思っているのでしょうか。
官房長官には仙谷由人さん、財務大臣には野田佳彦さん、外相には岡田克也さん、内閣府特命担当大臣には、台湾人の父を持つ蓮舫さんらが起用されました。前日に民主党政調会長になった玄葉光一郎さんも、国務大臣として入閣しました。
きょう午前の民主党役員会には菅代表が出席しました。役員会に代表(総理)が出席するという当たり前のことが、政権交代後、初めて実現しました。一つ一つボタンの掛け違いを直していって欲しいです。
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さてさて、書きたいことはいっぱいあるのですが、とりあえず菅内閣が今後、ボタンを掛け違いを防ぐために気になった記事を紹介したいと思います。
これは5日付読売新聞の11面、「基礎からわかる菅直人」という記事。
菅さんは半年前に財務大臣に緊急リリーフしましたが、補正予算を審議した、1月の参院予算委員会で、自民党の林芳正元経済財政担当相から、「消費性向」「乗数効果」について聞かれて、答弁につまりました。この後から、ペーパーに目を通し、慎重な答弁が続きました。そして、政権交代後の鬼門である最初の当初予算を3月24日という早い段階で通すことに成功しました。
で、この記事は、
「ある経済官庁の幹部」の話として、
「林議員にやりこめられたことが相当ショックだったようだ。あれ以来、かなり勉強し、役人の意見も聞くようになった。今は微分方程式について勉強している」と打ち明ける。
これはヒジョーに「ある経済官庁」のキャリア官僚が言いそうなことですね。微分方程式と、政府としての経済・財政運営になんの関係があるんでしょうか。ここまでの皮肉が言えるんなら、イギリス人にでもなれと言いたいところです。
過去、消費税を上げた内閣は、参院選でボロ負けしています。消費税法を成立させた竹下内閣→宇野内閣の1992年、そして、3%から5%に引き上げた後に山一・拓銀ショックがあった橋本内閣の1998年。ともに消費税が端を発して、景気の動向に左右されやすい傾向がある参院選で退陣に追い込まれました。「消費税」は多くの政権が避けてきました。
民主党は、「企業から家計へ」を合言葉にしてきました。子ども手当の基本理念である「控除から手当へ」も方向性は同じです。野党時代に「自民党政権は経済を良くすれば生活が良くなる。民主党政権は生活が良くなれば経済が良くなる」といっていた人が副大臣になって、「法人税引き下げ」に言及していました。どうして、与党になると「法人税引き下げ」を言い出すんでしょうか? 不思議ですね(笑)。
そう言う意味では、代表選に臨む菅さんの代理でG20財務相・中央銀行総裁サミットに出席した峰崎直樹・財務副大臣が「法人税率の引き下げ競争が国際的に激しくなっている」「G20や国際機関で一定の税率の幅を取り決め、歯止めをかける必要性がある」と問題提起したことは絶賛したいです。
もちろん、「法人税引き下げに歯止め」というのも、財務省に好都合であるわけですが。そこは別としても、「法人税は引き下げて、消費税を引き上げる」という設定では、これは選挙はゼッタイに負けますよ。あり得ないですよ。
菅さんはブレーンである内閣府参与の小野善康・阪大教授から「第三の道」(増税して景気回復する)を吹き込まれていますが、私には「第三の道」はトンデモ理論だと思います。財政再建をするなら大企業と家計がともに痛みを分かち合う「最少不幸」の税制改革をすべきなのです。で、ハッキリ言うと、菅さんにはそれを説明できる能力はありません。ですから、仮にやるんだったら、財務省の骨抜き工作を排して、中央突破を目指す。その結果、内閣が倒れてもかまわないという覚悟で臨んで欲しいです。
鳩山内閣は「普天間」でしたが、菅内閣は「経済・財政」で虎の尾を踏みそうな勘がします。とりあえずきょうは、このことへの注意喚起を書くまでにしたいと思います。
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それと・・・
この内閣、気付いたら、自民党国会議員経験者が3人だけですね。保守合同(1955年)以降、連立政権も含めて、もっとも自民党経験者が少ない内閣でしょう。最年長の亀井静香さん(73)はつい最近まで自民党にいた人ですが、「僕の中での自民党」というのは、1993年6月18日(宮澤解散)に離党した人たちです。そうすると、北澤俊美防衛相(72)、岡田克也外相(56)の2人だけ。
「あの日」に離党した鳩山由紀夫前総理(さきがけ)が去り、党本部から小沢一郎前幹事長(新生党)が去りました。党役員では石井一さん、前田武志さん、それと山岡賢次さんも自民党経験がありますが、それでも3人だけで、世代交代が進みました。新生党新人として初当選した山田正彦さんが農相になりましたが、「あの日」に、あの巨大な自民党丸からイカダにのって飛び出しす勇気を持った人の存在感が薄れていく。下手したら「自民党だからダーティー」といわれやしないか、と。やれやれ、人事とは、何とも複雑なものです。
第40回衆院選の日本新党や新党さきがけ初当選組と志は同じ、前職候補か新人候補かの違いでしかないのですが。でも、自民党を飛び出した衆院議員は岡田さんただ一人・・・。岡田さんは、菅首相の隣りで記念撮影に臨みましたが、その辺どう思っているのでしょうか。